2016/04/09

新年度が明けまして

新入学生の皆さんや,専攻科に進学した皆さんはおめでとうございます,ですね.

ですが,個人的にはとてもとてもおめでたいなどとおめでたいことを言っていられる状況ではありません(苦笑).
今年度は本科5年生の進路指導担当(いわゆる担任)を初めて仰せつかっています.実質昨年度末から,求人訪問される企業の人事・採用担当の方に対応したりしていましたが,やはり実際に年度が明けてからは,”研究のけ”の字も見当たらないほど,就職・進学など,進路指導関係の諸々に時間を割いています.

年度末まで,8月開催の国際会議用論文を執筆していましたが,今では,締め切りが年度末で良かったと心から思っています.
これから1,2ヶ月の間が,特に就職希望の学生にとっては本当に大事な時期になります.そういう意味では,僕自身も普段の研究活動とはまた違った意味で,中々に”得難い経験”ができていると思います.

僕自身,約20年前に自分が編入学へ向けた活動を行っていたことを思い出しますねぇ.当時はまだ,インターネットもほとんど普及しておらず(何せ,やっとWindowsが3.1から95になった頃で,携帯電話どころか,やっとPHSが普及し始めたくらい.ネット接続はダイアルアップだし,当時主流だったWebブラウザはNetscapeだったような・・・),各大学の募集要項の入手は”郵送”がメインでした(送信封筒に切手を貼った返信用封筒を入れて,その中に募集要項を入れて返信してくださいと書いた依頼状も同封).
記憶は定かではありませんが,二桁くらいは募集要項を取り寄せたように思います.

というわけで,実のところ,大学編入学については自身の経験も踏まえ(当然,当時と状況は違いますので,そのあたりの差分については補正を加えつつ)アドバイスができるのですが,就職活動については,僕自身には経験がありません.
とはいえ,これまで(僕の出身校の)函館高専の同期,および東京高専で送り出してきた卒業生の就職活動を見てきて思うのは,”のんびりしていると大変なことになる”ということです.

何も,焦って就職先を決めよと言っているわけではないことについては誤解しないで欲しいものの,文字通り,のんびりしているとあっという間に時間も就職先もなくなっていきます.
過去の先輩方の実績のおかげで,高専はいまだに求人倍率は高いです.その分,多くの企業の方が高専の学生を評価してくれているわけですが,それはあくまで活動スタート時の状況です.
スタート当初,何十社,何百社の企業が東京高専卒業生を採用したい,と考えていたとしても,時間がたてばそれだけ他高専,他大学等の学生が当該企業の内定をゲットしていくわけで,見た目上(求人票上)東京高専の学生さんが欲しい,と言っていても,1ヶ月経ち2ヶ月経つほどに,求人票を見て問い合わせてみたら「実はもう定員いっぱい採用してしまいました」ということで”門が閉まってしまっている”ことは少なからずあります.

そりゃそうですよね.企業の採用担当の方だって,東京高専に限らず良い学生は早く獲得したいわけですから.
就職活動自体,原則的には,限られた時間の中で,限られた情報をもとにベターな就職先を探すという制約充足問題だともいえます.例えば,求人はたくさんあるからとのんびり構えていたり,例えば,第一希望の企業から不採用と言われてしばらく落ち込んで活動が再開できなかったりすれば,それだけ多くの”あなたを待っている企業”の求人の門が閉じていくわけです.
そんなもったいないことをするくらいだったら,どんどん積極的に挑戦していかなければいけないし,結果として,過去の事例をみても,そのように前向きで,準備を整え企業研究を続けながらも実際の手続きや選考に次々と望んでいく学生の方が,早く就職が決まっていく傾向があると思います.

十分なリサーチをせず,見学や説明会に参加せぬまま,企業の肩書きやイメージ,求人票に載っている待遇のみで就職を決めるのはよろしくありませんが,そのあたりの準備を整えたら,一気呵成に決めるくらいの心積もりでいて欲しいし,実際にそうあって欲しいとも思います(もちろん,僕の個人的な考えであって,万人に通用する必勝法ではないとも思いますが).

就職にせよ進学・編入学にせよ,自分の将来を決める重要なファクターです.
特に就職については,(最近はそうでもないですが)多くの学生にとっては自分の一生の職場を決めるための決定となります.
それを高々数ヶ月の活動で決めるというのですから,そう簡単には覚悟は決まらないかもしれませんが,覚悟を決めないと就職先も決まらないことが多いことは事実で,覚悟を決めないままに決まってしまうと,後から後悔することにもつながりかねません.

まぁ,本来であればここまで高専で過ごしてきた4年間が,各学生にとって充実したものであったならば,ある程度の覚悟はその経験から自然と決まるものとも思っています(要は、日頃の行いです).
@dkitakosi からのツイート