2017/03/27

今回の出張について(マカオ・名古屋6日間)・後編

忘れずにいることができましたので(笑),要望があるかどうかはわかりませんが,前回に引き続き出張の話です.今回は,4日のマカオから名古屋への移動以降について

【名古屋編】
(4日目・後半)
 日本に帰国して一番困ったのが,気温の感覚がズレていたこと.マカオは多湿のため,同じ気温であっても”不快さ”にかなりの差があります.体質的に汗をかきやすい一方,乾燥にも弱いという面倒くさい人間であるため(苦笑),特に帰国初日のこの日は厄介でした.
 名古屋に到着後,ホテルにチェックインして間も無く,学生2名と合流.うち1名の発表練習はすぐに実施し,その後夕食をとって,ホテルに戻ってからもう1名の練習.発表を実施する2名のうち,先に練習を終えた1名は,既に他の研究会での発表経験がある事もあり,場数という面では大きな問題はないかな,と思っていましたが,もう1名についてはちょっと(結構?)心配でした.詳細については省きますが,要は「一定以上の能力がある(はずである)のにも関わらず,中々それを発揮できない(しようとしない)」と言った側面が見受けられたことが理由です.そんな状況でしたので,この1年間,結構厳しいコメントも出してきました(期待を込めてのものもあれば,それはさすがに有り得んだろう(苦笑)というものもありましたが).
 どうしてそういった学生に学会発表を課したかといえば,理由は一つで”学会発表をきっかけに覚醒してもらう”ためです.能力は当然あると思っていますので,やる気になれば(and/or やる方法やコツさえ掴めば)そこからは行けるだろうと思っていました.百歩譲って,もしそれでもダメだった場合には,僕が発表すれば良いわけです・・・・・・と書くと,「どうせダメだったら北越が発表してくれるだろう」と思う学生も出てくる可能性があるかと思います.どんな状況になっても発表は学生に責任をもって(例え質問で蜂の巣になろうとも)やってもらうことは申し添えておきます・・・当然,発表の流れなどについて,本人ができないとなればこちらで手を入れることはできますがね(気になる人は,過去の先輩に聞いてみてください.学生の発表を僕がすることとなった事例は皆無だと思います).
 果たして今回,当の学生もかなり気合いを入れて準備と修正を進めてくれていました.それは恐らく本人だけの力ではなく,一緒に発表する学生などからの助言もあったかと思いますが,そのように周囲の学生と意見を交わしながら研究を進めていく能力も含めての能力ですから,相談は大歓迎です.この日の発表練習は本番の2日前ですので,タイミング的にはかなりギリギリであったことは事実ですが,そうだとしても,学生が研究(考察)のコツ(≒膨大な判断材料の中から目的に沿った考察が進められる要素をピックアップし,聴衆が理解しやすい形式で理論的に,その材料を持って言いたいことを表現する)をつかめれば,それは当該学生が今後,大学・専攻科進学する場合でも就職する場合でも大いに役立つ経験であると思います.
 そういう意味で,この日は(なんとか発表に間に合いそうだ,という点で)安心したと同時に,嬉しかった日でもありました.

(5日目)
 上述の通り,昨日の時点でかなり安心したという意味で,実のところこの出張後半戦でやるべきことはほとんど終えてしまったような感覚でした(笑).とはいえ,発表する当の学生は準備を整えておきたいわけで,今日発表予定の学生の練習を改めて午前中に実施し,午後の発表に備えました.昼食は学会会場(名城大学)でとることとしましたが,ちょうどそのタイミングで,当初より予定していた元職場(名古屋工業大学)の同僚の落ち合うことに.ついでと言ってはなんですが,学生の発表練習も見てもらいました(元同僚の彼は生体系のプロパーでもあるので,彼の発表練習を見てもらえたことは率直に良かったと思っています・・・我々とは異なるアプローチも提示してもらえましたし).
 午後の学生発表は,個人的には,大きな問題なく終了したように思っています(当の本人には不満が残ったようでしたが,発表においても論文執筆においても,やろうと思えばいくらでも改善点は出てきますから,是非この経験を次に活かしてもらうことを期待しています).
 そうそう,実はこの日,僕が名古屋出張に来ていることをFacebookで知ったOBから,どこかのタイミングで会えないかと連絡をいただいていました.実は当日の朝に会う予定だったのですが,海外出張明けでアラーム設定がおかしくなっており,会うことができなかったという不覚.ただ,その後改めて夕食を一緒に取ることができましたので,(残り1名の学生にとっては1日早い開催となりましたが)”打ち上げ 兼 OB会”といったイベントになりました.当該OBは,知識研出身ですが指導教員は僕ではありませんでした.とはいえ声をかけてくれ,結果としてその指導教員も交えて話ができましたので,普段の打ち上げにも増して盛り上がったなぁ,というのが第一印象です.

(6日目)
 出張最終日にして,もう1名の学生の発表日.午前中の発表でしたが,少し早めにチェックアウト準備を進め,最後にもう一回発表練習を実施して会場へ.今回の学会(信学総大)においては,当日の発表セッションは知り合いの先生が多く出席されているテーマで,(学生にとっては幸か不幸か)僕の研究内容についてよくご存知の方も多かったということもあり,無事発表を終了した後の質疑応答も活発で,個人的には非常に良い”今年度の出張締めくくり”となったように思っています.
 実のところ,体調は出張から戻った現時点でも,まだ8〜9割といった状況ですが,幸いなことに3月最終週は振替休日を集中させていたこともあり,一部を除いて自宅にいられます(チビの面倒を見つつ,ですが ^o^;;).来年度の準備を整えつつ,体調も整えていきたいところ.また,この名古屋での発表2件は来年度の研究テーマとしても引き続き進めていく予定ですので,我こそはと思う新5年生が出てくることも期待しています.

今回の出張について(マカオ・名古屋6日間)・前編

1日遅れとなりましたが,今回の出張についてはちょっとまとめておこうと思いましたので,以下に記録しておきたいと思います.
今回の出張ですが,タイトルにもある通り,前半は国際会議(ICISA2017)参加のためマカオへ,後半は2017年電子情報通信学会総合大会への参加のため名古屋(名城大学)へという,いわゆる”周遊旅行”となりました.だいたい僕が海外に行く時には何かある(例:飛行機が飛ばない,荷物が届かない,来るはずの迎えが来ない,などなど)のですが,今回はある意味,これまでの出張の中では最もハードだったかもしれません(苦笑).
マカオでは,昨年度高専を卒業して大学編入学した学生(学部3年生)1名と,その後の名古屋では,つい先日卒業式を終えた学生2名との旅行でした.

【マカオ編】
(1日目)
 直行便で到着しましたが,着いたのは夜.ご存知の人も多いでしょうが,マカオは「カジノの街」で,我々の泊まるホテルもいわゆるリゾートホテルでした.周囲のホテルも全て同様で,一言で言えば”豪華絢爛な”内装・外装なのですが(3日目には飽きましたが),兎にも角にも飲食費が高いことは事前に分かっていたので,初日から安くて美味い食べ物を求めて探検に出ました.この日は,夕食を機内食で軽くとっていたこともあり,ホテルの近所にある大学の購買で最低限の飲食物をゲットして帰宿.ホテル周辺のスポットとの距離感が大体わかったという感じ.
 で,この日起こった事件としては(既にtwitterでもtweetしているのですが),持参したスーツケースを開けるためのキー番号が,変えた覚えがないのに何故か勝手に変わっていて(!),開けられなくなっていたこと.0〜9までの10通り×3桁ということで,brute forceで開けました(苦笑).何故番号が変わったのかは未だに不明・・・

(2日目)
 朝食は近所の(といっても徒歩30分くらい離れた)飲茶専門の庶民的な店でゲット(当然,ホテルとは比較にならないほどの安さで,味は抜群).その後,学会会場へ向かいregistrationを済ませて,会場を下見がてらsessionに参加.翌日が発表本番ということもあり,日中のうちに観光を済ませて(笑),夜には発表練習を,ということで,世界遺産がたくさんあるというマカオ北部へ.
バリバリの観光地であるセドナ広場でタクシーを降り,昼食がてら”おでんのカレーがけ”を食べました.マカオは当初ポルトガル領であり,ポルトガル料理として,このカレー(風味)というのが有名らしいんですが,実際非常にスパイシーで美味でした.その後,世界遺産である聖ポール天主堂跡を訪れたところまでは良かったのですが(当該スポットに至るまでの道のりは,まるで”清水寺に至る参道”のような坂道&人混み&土産物屋攻勢でした),その直後,今回の移動疲れに加え,これまでの睡眠不足や疲労が一気に表出したのか,急激な目眩と頭痛,手足の痺れなどに見舞われ,こりゃぁ熱中症のなりかけだということで同行していた学生と別れ,一足早くホテルに戻り静養することに(当日の気温は25,6℃程度であったようですが,湿度は異常に高く,東京から移動した僕にはかなりの負担であった模様).これまでに経験したことのない不調であり,これは睡眠不足や疲労もあるのでしょうが,そろそろ年齢的にも無理はしづらくなってきたのかなぁと,体調不良と併せて随分とショックでした(実際,かなり戻ってはきたものの,現時点でまだ完調には至っていません).

そんな状況ではあるものの,当然学生の発表練習はありますので,ベッドに寝たまま(汗)発表練習に付き合って修正コメントを出し,後は翌日の発表に備えて早めに就寝.

(3日目)
 昨日の今日ですので,結構睡眠はとったもののまだ目眩が残るような状況でスタートしました.とは言え空腹では回復するものも回復せぬということで,徒歩30分の場所で再び朝食をとり,その後学会会場へ(ちなみに学会会場も,宿泊先とは異なりますが,いわゆるリゾートホテルでした.学会会場の隣では何だか知りませんがショーをやっていました).今回はSession Chairも(いきなり)依頼されていましたので,学生の発表を気にしつつもChair関係の資料を確認しつつ,開始を待っていたのですが,どうにも”発表者の出席率が悪い”のは勿体無かったと思います.アジア開催の国際会議ではそのようなことが多い,といった噂は聞いたことがあるものの,これまでに参加した学会ではそのようなことはなかったので,ある意味初めての状況が,自分がChairをする学会で起こってしまっていたという・・・
 とは言え,学生の発表は無事終了し(参加者が少なかったこと&僕がChairで,共著者に質問するわけにいかなかったこともあり,質問が出なかったことも勿体無かったのですが),Chair自体も大過なく終了しました(PCの接続に苦戦した発表者もいたのですが,幸か不幸か発表者に欠席が多かったので,”時間は大量にあるからゆっくり直して”という余裕があったのは良かったのかもしれません ^o^;).
 当日の夜は,打ち上げよろしく,上述の通りマカオでは有名なポルトガル料理の店で夕食をとり,帰宅途中に立ち寄ったスーパーマーケットでも少々買い物をして,ホテルでの2次会(?)の準備を整え帰宿.ちなみに,海外出張先で地元のスーパーを見つけることは僕にとっては恒例行事であり,現地の一般的な人がどんなものを飲み食いしているのか,実際に購入して確かめられるという意味でも,当然,スーパーですから”庶民的な価格”で色々なものが手に入るという意味でも非常に重要です(これまで最大のヒットは,レストランで食べると味の分散が大きく価格も高いのに,スーパーでは安くて美味いチーズとワインが入手できたパリのスーパーでしょうか).
 打ち上げ,なんて書いてはいますが,実は帰宿後,翌日から参加する電子情報通信学会総合大会(略称:信学総大)で発表予定である学生2名との”リモート発表練習”も実施しました.各学生の自宅,およびホテルを繋いでのオンライン練習です.この辺り,ホテルのネットワーク環境が少々不安だったのですが,流石の一流ホテル,ファイルの送受信速度も快適でした(ホテルの食事も,値段はそれなりでしたが,恐らく価格に見合う or それ以上の味であったと推測しています).

(4日目:前半)
 帰国便が朝早かったため,結構早朝に起床.少し余裕を持って空港に到着し,チェックイン時間を待ってとっととチェックインし,朝食は国際線のパスポートコントロールを抜けた先のフードコートにて.相変わらず体調は万全ではありませんが,そういう状況に置いて,朝食としてお粥(とは言えしっかりと栄養が取れる内容で)をセレクトできるのはマカオ(中国)ならではかもしれません.
マカオは,これまでにも書いてきた通り,ホテルが複数まとまって一大ショッピングモール&アミューズメント施設を形成している関係で,お土産物を含むショッピングはほとんどこのホテル複合施設で完結できます.一方で,空港の中のショップはかなり限定的で,免税店の数も知れているので,もし近日マカオ(や,隣接する香港)に訪れる予定の人は留意しておくと良いでしょう(ただ,空港内に「現在工事中」なんていう掲示もあったので,工事後には充実した免税店エリアが現れる可能性もあるかも).

 思った以上に膨大なボリュームとなりましたので(苦笑),帰国後の国内出張編(?)については,後篇としてアップしたいと思います(万が一,アップされなかった場合はごめんなさい).

2017/03/26

年度末となりまして

おおよそ,4〜6ヶ月に1回程度の更新頻度で落ち着いてしまっている(苦笑)このBlog,特にこの1年間については,色々と書きたいことはあったものの”あまりの多忙さ”のため,本当にBlog更新に意識が向かなかった(一瞬意識が向いてもすぐに飛んでしまった)というのが率直なところです.


今年度は本科では最上級学年である5年生の担任(学級指導教員=進路指導担当)ということで,普段の卒研指導に加えて,様々な指導に従事してきました.
ただ,この1年間5年生の担任をやってみて感じたことは,”進路指導”という表現は(やはり)適切ではないなぁ,ということです.

卒研指導にせよ,進路指導にせよ,実際に頑張るのは学生,という点では同じであるものの,こちらでコントロールできない要素,予測しづらい or 不能な要素が多過ぎます.
また,研究であれば,(当然,最初からゴールが確定しているような研究はありませんが)進む方向をある程度ナビゲートすることができますが,進路指導,特に就職希望の場合,書類作成や手続き上の指導やマナー・面接の指導などはできても,結果として自身の希望する進路から合格(内定)をもらうのは,当の本人の普段からの努力(準備)次第です.

上記で比較対象にしている卒研指導も本来,指導という表現は不適切だと個人的には思っていますが,大学と高専における研究指導の双方を経験している自分としては,少なくとも
”大学における卒研指導では,いわゆる指導はほとんどしていない”
と言えます.
(大学編入学し,卒研や学会発表を経験した先輩に聞いてみるのが一番ですが,良くも悪くも「手取り足取りの指導」をそれらに対して実施するのは,恐らく高専時代だけです)


正直申し上げて,研究についても進路決定についても,取り組む姿勢やしておくべき準備,および,ある特定の状況において(自身の経験上,同様の状況に遭遇している場合)どうすれば良い方向に進むかのアドバイスはできるものの,当たり前と言えば当たり前ですが,結局のところ”やるのは自分”です.

先日某学生に「卒研生としてきてもらって嬉しい学生はどんな学生?」という質問を受けましたが,その際の僕の回答は”真面目で意欲のある学生”でした.当然,研究分野に関する事前知識や周辺知識,プログラミングスキルなどはあるに越したことはないものの,それらがあっても上記の二つの資質がなければ研究は進まないしまとまりません.逆に,真面目で意欲のある学生なら,なんだかんだいっても,最終的にはなんとかなるものです.


気がついたら,進路指導から卒研指導の話題に切り替わってしまいましたが,実のところ進路指導においても卒研指導と同様,大事なのは真面目さと意欲であろうと思います.
真面目さや意欲がある学生は,見ていると分かりますし,当然,それは普段の振舞にも現れます.逆に,口では真面目だ,意欲的だと言ってみても,実際にそうであるかどうかは,

  • 普段の連絡や報告をしっかりしているか
  • 困った時には(困った時こそ)すぐに相談してくるか
  • 日々,少しでも(企業研究や編入試験勉強,卒研テーマに関する勉強等を)進められるよう努力しているか

といった点を観察していれば,本当かどうかはやはり,すぐに分かります.
真面目だったり意欲があっても,センスやスキルがなければ就職も編入学も研究もうまくいかないのでは?という意見もあるかもしれません.それはある意味正しいですが,上述の通り,日々努力していて,普段から密に担任(指導教員)と連絡を取っている学生であれば,教員も”なんとかしてやりたい”と思うものです.
あぁ、この点も一つ補足しておきますが,教員(ここでは主に僕)は別に,上記の学生を差別(区別)していたり,そうしたいと思っているわけではありません.当然のこととして,どの学生にも立派に卒業して欲しいと思っているし,その際,できる限り学生にマッチした就職・編入学先が決まっていて欲しいと思っています.
が,上のような真面目さや意欲が足りない学生に限って,学生からの連絡・報告はないし,こちらから連絡しても返信がなかったり,とんでもなく遅れてからやっと返事が来たりと,”なんとかしてやりたいと思っていてもできない(そのようなサポートができる状況にない)”ことがほとんどです.

そういう意味でもやはり,卒研指導や進路指導という表現は適切ではなく,各学生が研究活動や進路活動(就職活動 and/or 編入学試験勉強)を進める上で我々教員がサポートする,といった表現の方が実際の活動によりマッチしているといえるでしょう.
今年度1年間の経験を経てみて,逆に「指導」という表現がなされることで,各学生が卒研や進路活動が”自分たちの問題”であるという当事者意識を希薄にしているのかもしれないとさえ思いました.

来年度以降,研究活動,進路活動を行うことになる学生の皆さんには是非とも,当事者意識と主体性を持って,地道に取り組んでもらうことを期待します.
@dkitakosi からのツイート