2018/10/30

小休止

前回,次のエントリで上半期を振り返る,みたいなことを書いたんですが,現状,じっくり振り返っている余裕がやはりないということで(苦笑),取り急ぎ先週金曜日(10/26)に,受け入れ先大学にて開催された学会で仰せつかった基調講演の実施報告を.

今回で24回目という結構な歴史のあるTANET2018.参加者数も800名超とのことで,始まるまでは結構緊張していましたが,結果からいうと特に大きな問題もなく,無事講演は終了しました(良かった).今回の講演は40分と,通常の学会発表よりはかなり長いものの,先日,質疑応答込みとは言えトータルの発表時間1時間という講演を経験していたので,長さの面では多少精神的な余裕がありました.
副学長の李先生から記念品を頂きました
むしろ今回心配だったのはオーディエンスの”層”で,メインは学生さんというより,どちらかというと同業者(教員)の人だったり産業界の人が多いという印象.経験がない訳ではないものの,200人くらい入る会場の大半がその層というのは経験がない上に,今回の講演テーマは
”日本の人工知能研究について”
という抽象的かつ広い内容(苦笑).

今回は,日本ならではのテーマというように解釈して,元同僚の先生や東京高専電気工学科の 先生にも協力を依頼してネタを集めましたが,自分の発表(3日間のうちの最終日)の順番となる前に他の講師による講演や,座長の皆さんの挨拶などを聞いていて,発表内容に加えて新たな心配が増えました(汗).
というのも,こちらの皆さん,挨拶や発表において必ず,”ちゃんと笑いをとる”んですよ.こっちにしばらく滞在してより印象を強くしている点の一つとして,やっぱり台湾という国はアメリカの影響を強く受けているのだろうなと.地理的,歴史背景的に日本の影響は当然受けているものの,ことアカデミックな世界においては(おそらく),多くの先生がアメリカで学位を取っていることもあって,スピーチでは笑いをとるというのが自然な振舞になっているように思いました.
スピーチ前の記念撮影.向かって一番左がHost laboratoryの張先生











日本の学会って,(当然,分野によっても毛色がかなり違うので一概には言えないんだけれど)懇親会では一気に馬鹿騒ぎみたいになることがある一方,発表の場では良くも悪くも真面目に,みたいなところがあるんですが,僕が今回参加したスピーチに関して言えば,それらが全部keynoteだったということもあるんでしょうが,必ずいくつかネタを仕込んでいるんですねぇ.で,そういった和やかな雰囲気のままスピーチが始まるので,聞く側も変に構えることなく,自然に話を聞けるという.

さて,これと同じことを自分にもできるだろうかと(苦笑).日本語での発表であれば良くも悪くも”空気が読める”ので,言って良さそうなことマズそうなことを探りつつ行ける感があるものの,流石に台湾の人の笑いのツボは把握していません(スピーチの言語も,僕以外は全員中国語ですから,面白いことを喋っているな,とまではわかっても,詳細な内容までは理解できませんでした).

発表終了後,スタッフの皆さんと記念撮影
















そうなるともう頼りは,自分のスピーチが始まるまでの間にどれくらい笑いのネタになりそうな内容を収集するか,です.ぶっちゃけある時期から,発表内容に問題がないかより,こちらが狙った場所でどのくらい笑ってもらえるかの方が心配になっていたりして(苦笑).
で,実際のところどうだったかと言いますと,大爆笑とまではいかないものの(ていうかそもそも大爆笑は狙っていないわけですが ^o^),数カ所,狙ったところでちゃんと笑ってもらえました(笑).そして実際,そう言った笑いを冒頭や間に入れ込むことで,話す側も聞いてもらう側もリラックスしてスピーチが進められたように思います.

通常の学会発表の場合,当然一番大事なのは”研究成果を適切に伝える”ことですし,時間は通常,長くても質疑込みで20分程度.となると,言わなければいけないことを伝えるだけでも時間的に一杯一杯になることが多いわけですが,幸か不幸か40分くらい時間があると,その中で多少想定外な時間の使い方をする部分があったとしても,途中でかなり調整が効きます.そう言った意味で今回のスピーチは,これだけの規模の学会で基調講演をさせてもらったという経験自体の貴重さはもちろんのこと,久しぶりにある程度満足のいく準備ができたこともあり,直前で加えたネタ(?!)がちゃんと効いたこと,および,その分変更になったペース配分を発表しつつ調整して最終的に帳尻を合わせることができたことなどなど,非常に収穫の多い40分でした.

さて,タイトルでは小休止,としているものの,実はまだ小休止もしていられる状況ではなく(苦笑),現在某科研費の最終確認をしているところ.これが終わったら,多少は気が休まるかと思うものの,ちょっとしたら今度は,国際会議の発表練習(幸いなことに?今回の発表者は僕ではなく学生ですが)であったり,国内学会の執筆論文の添削といったタスクが迫ってくるハズです.
論文執筆もそうですが,発表資料作り&発表練習は,時間があるならその限り,何回でも何十回でもやっておいた方が損はありません.当然やった分だけ自信もつきますし,不測の事態への対応もしやすくなります.
また,どれだけやれば十分なのか,と言った目安がわかるようになれば,(本当は避けたいですが,忙しいとそうとも言ってられなくなる)十分な練習時間が取れなくても,どの部分を押さえておけば最低限恥ずかしくない発表ができるか,みたいなことも分かってきます.

ただ,結局何が言いたいのかというと,要は,一番大事なのは”場数を踏むこと”と,”十分な準備をすること”だということでしょうか.さらに理想を言うなら,”失敗できるうちにできるだけ失敗しておくこと”です.最近,打たれ弱い人が増えてきているような感もあるので,個人的には何かに初挑戦する時には,全体的には成功とみなせる,という状況で終わって成功体験を積んでもらうのが無難かなぁ,と思うことが多いんですが,理想的には,失敗できる状況なら,失敗はしておくに越したことはないです.
そう言った意味で「もったいないな」と思うのは,挑戦したら挑戦できる状況なのに,失敗を怖がって何もしないことですね.これは完全にもったいないです.

ちなみに今後下半期ですが,年内に一回,受け入れ先大学の学生さん向けの講演(強化学習について)が一回と,年明け早々,6月にお邪魔した大学での招待講演がもう一回控えています.もちろん,万全の準備をする(しようと努める)ことが大前提ですが,誤解を恐れずに言えば,それでもし失敗したとしても命まで取られるわけでなし,次に活かせればよし,くらいの感覚でいます(とは,依頼してくれた先生には言えませんが ^o^;;)

2018/10/04

Half year

正直申し上げて現在,”それどころではない”というのが率直な感想ですが(苦笑),先日の10月1日をもって在外研究期間が半年となりました.

この半年を振り返るのは,現在取り込み中の↓の準備が完了してからとしたいと思います・・・

2018-臺灣網際網路研討會
(Taiwan Academic Network Conference)

上の学会で発表することになってまして,現在鋭意資料作成中です.発表時間的には今年6月にChi-Nan Universityで話した時より短い(40分)んですが,今回はオーディエンスのメインが学生さんではなくこちらの研究者の皆さんとなりそうなので,今からちょっと(柄にもなく)緊張してます.

次回更新の際,上の発表の首尾のご報告(!?)と併せて,この半年を振り返ってみようかと思います.
@dkitakosi からのツイート