2021/03/27

(恐らく)今年度最後の投稿?

 気がついたらあっという間に,後3日とちょっとで今年度が終了です.

仕事の内容は既に,今年度のまとめから来年度の準備にシフトしていますが,ぶっちゃけ全く間に合っていません(苦笑).遠隔授業の準備はいくつかの授業で終了しているものの,幸か不幸か今年度対面でできた授業や諸事情により担当しなかった授業は”対面用の資料”しか用意できていないので,どっちでも対応できるよう最低限の準備は今からしておきたいところ.

今年度いっぱいで任期切れでお役御免となる仕事がある一方,当然新しい役目も仰せつかっているので,そっちの(心の)準備もしておく必要がありますし,久しぶりに担任業務もあります(この学年の担任は約10年ぶりくらいなので,そもそも”勘が鈍って”いるのではないかと ^o^;;).

研究周りはちょっと小休止状態,かと思ったんですが,先日いきなり某国際会議にて「基調講演で話してくれ」との依頼が来て,約半年以上後の話なのでそもそも予定がはっきりしないという話もあるものの,はっきりしないからと断っていたら大体のオファーは断ることになってしまうので,取り急ぎ受けてみてから考えることとしました.
詳細は正式決定したら改めてお知らせしますが,恐らく確実なのはオンラインでの講演になるでしょう,ということ.
出張の旅費がかからないとか,移動の負担がない/少ないのはある意味メリットなのかもしれませんが,個人的にはやはり現地に出向いて発表して,現地の研究者,関係者の皆さんとリアルタイムで対面でディスカッションして得られるものも多いので,多くの皆さんと同様,なんとか早く今の状況が改善して欲しいなと思っているところ.

半年以上先の予定なので,あるいはもしかしたら出張できる状態になっているかもしれませんが,実は講演予定日が中間試験の2日前くらいという状況のため,行くとなったらそれはそれでスリルのある(!?)旅行となりそうです.

2021/03/15

コミュニケーション能力

 今日のタイトル,過去にも何回か触れているかな?と思って検索してみましたが,意外にしっかりとは触れていないようですので,今回ちょっとまとめておきます.きっかけは某サイトの記事にあった”プレゼンテーション”に関する話題の中で,

「発表者に対する情報が乏しいのに,無駄な周辺情報を盛り込んでただただ長い発表をするのは完全に逆効果」

という内容を読んで,これも要は”コミュ力”に関する話だな,と思ったことです.


恐らく,ですが,特に学生のみなさんが考えるコミュニケーション能力とは,簡単にいうと

  • うまく話すための能力や技術
  • 見栄えのするデザイン
  • ユーモアやネタ
だったりするのではないかと思うのですが,個人的に上記はある面ではコミュ力の一部を担うことはあっても,コミュニケーション能力を身につけるための必要条件ではないと思っています.


コミュニケーション能力は,イコール

”相手のことを考える力” 特に, ”相手が今何を欲しているか(どんなことを知りたがっているか)を把握する能力”

だと考えます.
例えば高専の授業で,学生は当該分野の知識がないから「基本のキ」から教えて欲しいのに,教員は「最先端の技術を」と考えて難解な理論を数式満載で板書し始めたら引くでしょう?
逆に例えば,既にAIの基本は押さえていて,深層学習(DeepLearning)に関するより高度な知識を手に入れたいと思っている学生に教員が「じんこうちのうというものは〜」といった講義を始めたら,そんなまどろっこしいことは話してないでとっとと本題に入ってくれ,とストレスを感じるはずです.

どんな分野にせよ,単なる雑談であったとしても,この人はコミュニケーションが上手いな,と思える人は,(色々な知識を持っていることは前提として)相手がどのような話題を欲しているか?どんな知識をありがたがるか?と言ったところを推測して and/or 事前にリサーチして,その人にとってわかりやすく伝えることができる人だと思っています.
百歩譲って当該分野の知識を持っていなかったとしても,例えば話をする当日まで時間があるなら,事前に情報を仕入れておくなり,最大限,相手が喜びそうな情報に近い情報を提供することもできるでしょう.

冒頭のプレゼンの話題も同様で,発表者のことをよく知らないし,発表内容以外は特に知りたくもないと思っているのに,本題にいつまで経っても入らず自己紹介ばっかりやっているようでは,オーディエンスも途中で飽きてしまう可能性が高いです.
そう言った意味で,一見すると”一方通行”に見える授業もコミュニケーションです(学生をたくさん指名して回答させるかどうか,とは関係なく).また,もろに一方通行であることが多いプレゼンテーションもコミュニケーションです.
同じテーマであっても,その話をする対象者は誰?そのイベントはどんなイベント?相手はどんな情報を求めている?どういった雰囲気であれば伝えるべき情報が伝わりやすい?と言った諸々をよく考える必要があります.

学校説明会に来た中学生に難しい数式や法則の話を専門用語満載で伝えても興味を持たれない可能性がありますが,一緒に来ているお父さんお母さんがその分野の企業に開発者として勤められているのであれば,一般の中学生に向けた易しい説明では興味を惹けないかもしれません.学校説明会に来ている家族の中でも,中学生にはコレ,保護者にはこっち,というように,提供する情報(の詳細さ)や話し方を変えるだけで,(実は話していることは一緒だったとしても)話を聞いた全員を満足させられるかもしれません.


ぶっちゃけ,非常に平易な表現でいうと,”相手のことをいかに思いやって”話せるか=コミュニケーション能力の高さとも言えるかと思います.
この能力,いわゆる対外的な発表などで当然重要になってきますが,例えば”卒業研究の進捗報告”などでも必須の能力です.教員が欲しい情報を把握して,教員が欲しい形式で提供してもらえれば,それだけでミーティング時間の短縮につながり,お互いの理解が深まるので研究も進むというものです.

コミュ力以前の問題として,コミュニケーション自体の不足が問題となるような場合は論外です(実はこっちの状況も結構ある)が,頻繁にやり取りしているからといって相手が十分な情報を得られているか(コミュニケーションに満足しているか)は,必ずしも分からないので,注意しましょう.

2021/03/14

新年度へ向けて

新年度へ向けて,というタイトルにはしてみたものの,今年度中にやり残していることはまだまだあって,そんな中でも新年度の準備をしなければいけないというなかなかハードな状況です.例年似た様な状況ではあるものの,今年度はコロナの影響もあり,プラスアルファで負担が上乗せされている印象があります.

例えば先週は学生の学会発表があったり,今週後半はOB学生の国際会議発表もある予定ですが,”幸か不幸か”双方ともオンライン開催のため,現地へ移動することなく”発表ができてしまう”という状況です.ある意味,何でもオフィスや自宅で完結してしまうのは(特に僕に関しては)精神的にあまりよろしくないようです.遠かろうが僻地であろうが,どこか別のところへ行く,ということが良い気分転換にもなっているようで,そういう意味では非常にストレスフルな1年間でした(節約できた分の時間で他のことができた,という面も無きにしも非ず,ではありますが,実際のところはむしろ,これまで出張先や移動中での仕事が猛烈に進んだというポジティブな記憶しかありません).
もう一つ,オンラインでの国際会議参加で気がついたのは,
”時差の問題を忘れがち”
ということですね.在外での滞在を含め,ここ最近では日本との時差が1時間しかない台湾とのやりとりが多かったのですが,次の国際会議の会場はイングランドです(http://www.iciss.org).ご丁寧に現地時間と発表者の滞在地の時間を書いたプログラムを用意してくれていたおかげで気づいたのですが,現地に到着しての参加の場合,(時差ボケの影響はあるかもしれませんが)現地の時計に沿って過ごすこととなるので問題はありません.一方,日本にいながら国際会議に参加する場合,当たり前ですが日本にいながらにして現地のセッションに参加することとなり,今回の場合でいうと9時間の時差を否応無く意識せざるを得ません.今回,OB学生の発表は現地時間11:00頃ですが、日本では20時台.
いきなりSession Chairの依頼があり,OKしたSessionの開始時刻は19時台スタートと,これまたもはやナイトセッションです(笑).何がヤバイって,その時間帯にSessionがあるという感覚がそもそもないので普通に忘れてしまいそう(^o^;;

恐らく,上の国際会議での(学生の)発表と,Session Chairが終われば概ね今年度の研究回りの活動は終了かと思います,が,冒頭に書いた通り,来年度向けの準備はまだまだ山ほど残っているという状況です.今年度ほどではないかもしれませんが,東京高専では遠隔授業も引き続き行うでしょうし,状況が改善すれば対面授業の割合が,悪化すれば遠隔授業の割合が増えるかも,という意味でも非常に不確定性が高いので,ぶっちゃけ”両方に対応できる様に”準備をしておかなければイカンと.
今年度との大きな違いは,多くの授業が遠隔授業で実施されたので,遠隔授業版の授業資料は既にまぁまぁ揃っているということでしょう(”ほぼぶっつけ本番”での対応でしたので,かなり突貫工事で準備することとなったのは大変でしたが).今年度遠隔授業を実施した科目については,恐らくかなり変則的な状況になっても柔軟に対応できそうですが,授業以外でも色々と”臨機応変な対応”が求められることが増えそうな来年度.できることには限りがあるでしょうが,備えあれば何とやら,ということで,できる範囲では準備を整えておきたいところ.
ただ,実のところ一番大事なのは,過去例にないほど変化に富んだ1年の疲れを,何とかして少しでも軽減した上で来年度に臨む,ということですね・・・ 

2021/03/11

本日は大掃除(卒研室の)

 タイトルに記載の通り,本日は学生部屋の大掃除,およびPC設定の初期化やバックアップ作業を行ってもらう日です.
そろそろ年度末の様相を(やっと!?)呈してきましたが,個人的にはまだまだ年度末感がありません.学生部屋は整理しなさいと言っておきつつ,自身の部屋は荷物が増える一方です(整理したり処分したりする時間的な余裕がなく・・・).

その一方でこの後は,学会発表する学生がいるのでまずはそっちの様子を確認しつつ,大掃除等は”やってもらうこと”を伝えた後は学生の皆さんにお任せ.来年度以降の情報工学科の広報用写真を,学生の皆さんにも協力してもらいつつ撮影し,あとは卒業式を待つばかり,という状況にできる限り近づけて置く予定.

一部,卒論の差し替えを予定している学生もいるので,もう少し作業は続く人もいるかと思いますが,今日の午後で”必要条件”はクリアしてもらえればと思っている次第です.
幸か不幸かオンラインでの活動が多かったので,大掃除はそれほど大変ではないかと思いますが,夕方になると僕は別件で不在となってしまうので,テキパキと進めてもらいたいところ.

今日は東日本大震災から10年.当時は今日と同じく居室にいて,ずいぶん揺れたなぁという印象はあったものの,その時点ではこれほどの大事態となるとは思っていませんでした(実際その後,帰宅できない学生がたくさんいたり,町の一部は停電していたり,翌日帰るというフィンランド学生を心配したり,そもそも僕自身は翌日出張だったので,どうやってたどり着くか,そもそもたどり着けるかを心配していたことを覚えています・・・学生が先乗りしていたので,自分だけ行くのを取りやめるという選択肢はなかったのです).
幸か不幸か今日,震災から10年をじっくり考える時間の余裕がないのですが,むしろ常に心の片隅にあった10年でもあるので,今日は今日で1日の終わりに,心穏やかに振り返ろうと思っている次第(夜には国際会議で発表する学生さんの練習もありますし).

2021/03/06

研究室に配属される学生に望むこと

専攻科生は特別研究論文の提出が終了したものの,(このブログの執筆開始日=2月末の時点で)5年生はまさに提出締切が週明けという現在,4年生は研究室配属の希望調査の真っ只中,という状況かと思います(途中で執筆を一休みして間が空いたので、このブログのアップは卒論提出完了後となりました).

今日,今から書くことは,縁あって北越の研究室に配属されることになった学生の皆さんに期待すること,および”これは絶対に守ってほしい”ということがメインとなっていますが,例えば1年生や2年生のタイミングで僕の研究室での研究内容に興味を持ち,「5年になったら配属されたいなぁ」と思っている学生の皆さんにとって留意しておいてほしいことも含んでいます.あくまで北越個人の期待や要望なので,研究室によっては当てはまらない条件があるかもしれませんが,恐らく,大なり小なりどの研究室でも必要であったり,そのくらいはおさえておいて欲しいという要素かと思います.

1.報告・相談は頻繁に

今も昔も,研究に限らずあらゆる活動の大前提であるにも関わらず,多くの学生が十分に(もしくは全く)できないのがこれ.そして,個人的な感覚として,この報告・相談が”最も必要な時に限って全くできない/できなくなる”という学生が多いのも悩ましいところ.
卒研や特研などの研究に関していうと,特に5年生は研究活動自体が初めての経験であり,本人が「進んでいる」と思っていても,実は盛大に間違えていたり,猛烈に遠回りしていたりする場合が非常に多いです.奇跡的に(?)順調に進んでいる(ように見えた)としても,研究を進めるにあたっては様々な”不測の事態”が起こるので,そういった状況が極力発生しないように備えながら進めていく,という意味でも,指導教員と学生は密に連絡をとっておく必要があります(そもそも,”答えが分かっている研究なんて研究とは言わない”わけで,教員も当該分野についての基本知識があったとしても,完全に答えが分かっているような研究を対象にすることはありません・・・というか,そんな研究つまらないのでやってもしょうがないですね).
研究に従事する学生の状況が分からなければこちらからもアドバイスのしようがないので,実際にどのような状況になっていようとも,手を出せなくなります.当然,研究活動に手を出せない=責任を持てない,ということになるので,報告・相談がない状況のまま,結果として卒研が終わりませんでした,となっても教員としてはアドバイスもレスキューもできません(というか,そのような学生であればレスキューしたいとは思えないのが人情でしょう・・・仕事ですからレスキューしますが).

2.研究テーマの選択は慎重に

大前提として,北越に限らずどの研究室でも”今,取り組んでいる研究”というものがありますし,当然その中には”やって欲しい(やってもらわないと困る)研究”といったテーマが含まれている可能性があります.
例えば,高専に入学して(場合によっては入学前から),ある教員の研究に興味を持ち,ずっとその希望を持ったまま当該教員の研究室に配属され,いざ当該のテーマを希望してみたら,「そのテーマはもう全部やり尽くしたから、今はやっていないよ」とか「(成果の有無に関わらず)そのテーマは今のトレンドに合わないので,○年前にプロジェクトは終了したよ」といった回答をもらって愕然とする・・・といったことが少なからずあります.
特に工学系の場合,その分野の特徴としても,応用研究が多いということからも,社会の要求という側面が大きくなります(要は、やることで社会に役立つ(可能性がある)こと,今後重要になる(可能性がある)こと,について重点的に取り組む傾向が強い).加えて,研究室に所属する学生の数や,教員が一度に取り扱える研究テーマの数にも限りがありますので,研究費を獲得していて,今年度進めなければいけない研究テーマに従事してくれる学生が一人もいない、ということは避けなければいけませんし,逆に,一人いれば十分なテーマに3名も4名も希望者がいる,という状況もある意味悩ましいことになります.
ある教員の研究分野を考えた場合,応用先はそれぞれのテーマで限定されるでしょうが、基盤となる理論や技術(北越の場合,機械学習やエージェントシステム,確率モデルに関する諸々)は共通していることが普通なので,「このテーマ以外はあり得ない」と言われてしまうと非常に困りますし(おおもとの理論は一緒 or 類似しているので,理論面でやりたいことはアプリケーションに関わらず大体の場合はできますし),実際,当該テーマ=同じアプリケーションをネタにしたテーマにはどうやっても従事させられない,という状況が比較的よく起こるということは意識しておく必要があります.

3.勉強の成績と研究能力に、正の相関は必ずしもない

自分はこれまで高専の勉強を頑張ってきたし成績もオールAだから,当然卒業研究も問題なくまとめられる(良い成果を出せる),と考えるのは時期尚早です.ある意味,いわゆる学校の勉強と研究活動は,必要とされる資質がかなり違います(これはもしかすると,学校教育の問題かもしれませんが).
例えば学校の勉強では,覚えるべきもの(歴史上の出来事や公式など)を覚えて,繰り返し問題を解いたりすれば成績はついてくるかもしれませんが,研究の場合,基盤技術についての知識を完全に覚えていたからといって良い成果が得られるとも限りません.そもそも,指導教員さえが答えを知らない状況で研究はスタートする(繰り返しになりますが,答えが分かっているテーマは原則,研究にならない)ので,当初見込んでいた予測が外れていたり,実験をやってみたけれど失敗した,なんていうことはザラです.むしろそれを受け入れて,その結果を踏まえてどうやって軌道修正しながら目的に向けて進めていくのかが重要です.ざっくりとしてタイムスケジュールはありますが,締切らしい締切と言えば,中間発表や最終発表の資料提出,卒業論文の提出締切など限定的で,毎週課題がある一般の授業とも異なります.
学生一人一人で得意分野も違うし,場合によっては経験のない作業を行うことになるので,学生自身もどのくらいの時間で作業が終えられるかわからない,ということもあります.そのような中で,ある種”自分で締切を設定”しながら,状況に応じて”作業内容や,場合によっては締切自体,研究目標自体を修正”せざるを得なくなることもあります.そういった状況を学生一人で解決するのは難しいので,研究経験が豊富な教員がアドバイスすることになりますが,(モロに1.と関係しますが)後戻りできない状況になるまで連絡も報告もなかったり,自分では上手くいっていると勘違いして突き進んだものの,教員に報告したら実は全く違う方向に進んでいた,なんていうある種のギャグに近い状況(とはいえ全く笑えない)も起こります.
教員から指示されたことさえできない,というのは論外ですが,言われたことだけやっていれば良い研究ができるというわけでもありません.レアな確率で,教員の指示通りやって良い成果が挙げられた,という場合もあるかと思いますが,ちょっと考えてみてください.そこに学生自身のアイディアが一切含まれていない卒業研究は,その学生の研究ではなく,むしろ教員の研究ですよね?(卒業)研究というのは,従事する当人の創意工夫や試行錯誤の結果,これまで明らかになっていなかった and/or これまでできていなかったことが明らかになる and/or できるようになることが成果になりますので,そういった点で学生の自主性,主体性が「良い研究を行う」ための条件となります.
では逆に,学校の勉強ができなくても良いのか,というとそうではなくて,研究を進めるに当たっても基本的な知識は授業で学んだことが少なからず含まれますし,自分が知らない知識を素早く入手し自分のものとするためには,いわゆる学校の勉強の手法が非常に有効である場合が多いですから,「自分は研究はできる(と思う).だから学校の勉強は頑張らない」というのはやめてください(そもそも,卒業研究ができる状況まで辿り着けない可能性も低からず出てくるでしょう).

※ 一点補足です.1年間(専攻科は2年間)頑張って研究した結果,予想した成果が出なかったら卒業・修了できない,とは限りません.自身では全く研究を進められず,”何もやってないから成果も出ない”場合には如何ともしがたいですが,いろいろと試行錯誤してうまくいかず,結果的にタイムアップになってしまったという場合,それはある意味では全く失敗でなく,”最終的な成功に向けて,うまくいかなかった事例を収集できた”という成果になります.上述の通り,ある研究の答えが事前に分かっているということは通常あり得ないので,やってみるまでは簡単だと思っていたのに,やってみたらメチャクチャ難しかった,ということも当然あり得ます.難しいのであれば,1年や2年で成果を出すのは難しいということもありますし,成果が出たとしてもそれで研究終了ではなく,成果の中にも課題があったり,課題ばかりのこともあるでしょう.そして,それらを翌年度以降の後輩が引き継ぐ,ということもあります(継続研究等と呼ばれるものは,これらの類の研究です). 


書いていると,昔のことから最近のことまで,研究指導をしてきて苦労してきた記憶がどんどん蘇ってきますが(苦笑),これまでの内容を簡潔にまとめると,
・視野を広く持って(自分はこれしかやりたくない,といったこだわりを捨て)
・指導教員とよく相談してテーマを決め
・研究を進めるに当たっても,セルフジャッジすることなく教員と頻繁にやりとりしながら
・主体性と積極性を持って活動する
のが,最低限”途中で座礁したり遭難したり行方不明になったりすることなく”,研究をゴールまで到達させるための必要条件かと思っています.

では,十分条件は何?という話も出てくるかと思いますが,これについては僕も完璧な答えは持っていないように思います.が,自分が考える「これ」というものはいくつかあります.これを書き始めると恐らく,ブログの文章量が今の5倍くらいになる(論文一本分くらいは書ける)ような気がするので,興味のある人は直接問い合わせてもらえればと思います(北越の研究室に配属された学生さんは,折に触れて豆知識的に触れる機会があるかもしれません).

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