2021/03/15

コミュニケーション能力

 今日のタイトル,過去にも何回か触れているかな?と思って検索してみましたが,意外にしっかりとは触れていないようですので,今回ちょっとまとめておきます.きっかけは某サイトの記事にあった”プレゼンテーション”に関する話題の中で,

「発表者に対する情報が乏しいのに,無駄な周辺情報を盛り込んでただただ長い発表をするのは完全に逆効果」

という内容を読んで,これも要は”コミュ力”に関する話だな,と思ったことです.


恐らく,ですが,特に学生のみなさんが考えるコミュニケーション能力とは,簡単にいうと

  • うまく話すための能力や技術
  • 見栄えのするデザイン
  • ユーモアやネタ
だったりするのではないかと思うのですが,個人的に上記はある面ではコミュ力の一部を担うことはあっても,コミュニケーション能力を身につけるための必要条件ではないと思っています.


コミュニケーション能力は,イコール

”相手のことを考える力” 特に, ”相手が今何を欲しているか(どんなことを知りたがっているか)を把握する能力”

だと考えます.
例えば高専の授業で,学生は当該分野の知識がないから「基本のキ」から教えて欲しいのに,教員は「最先端の技術を」と考えて難解な理論を数式満載で板書し始めたら引くでしょう?
逆に例えば,既にAIの基本は押さえていて,深層学習(DeepLearning)に関するより高度な知識を手に入れたいと思っている学生に教員が「じんこうちのうというものは〜」といった講義を始めたら,そんなまどろっこしいことは話してないでとっとと本題に入ってくれ,とストレスを感じるはずです.

どんな分野にせよ,単なる雑談であったとしても,この人はコミュニケーションが上手いな,と思える人は,(色々な知識を持っていることは前提として)相手がどのような話題を欲しているか?どんな知識をありがたがるか?と言ったところを推測して and/or 事前にリサーチして,その人にとってわかりやすく伝えることができる人だと思っています.
百歩譲って当該分野の知識を持っていなかったとしても,例えば話をする当日まで時間があるなら,事前に情報を仕入れておくなり,最大限,相手が喜びそうな情報に近い情報を提供することもできるでしょう.

冒頭のプレゼンの話題も同様で,発表者のことをよく知らないし,発表内容以外は特に知りたくもないと思っているのに,本題にいつまで経っても入らず自己紹介ばっかりやっているようでは,オーディエンスも途中で飽きてしまう可能性が高いです.
そう言った意味で,一見すると”一方通行”に見える授業もコミュニケーションです(学生をたくさん指名して回答させるかどうか,とは関係なく).また,もろに一方通行であることが多いプレゼンテーションもコミュニケーションです.
同じテーマであっても,その話をする対象者は誰?そのイベントはどんなイベント?相手はどんな情報を求めている?どういった雰囲気であれば伝えるべき情報が伝わりやすい?と言った諸々をよく考える必要があります.

学校説明会に来た中学生に難しい数式や法則の話を専門用語満載で伝えても興味を持たれない可能性がありますが,一緒に来ているお父さんお母さんがその分野の企業に開発者として勤められているのであれば,一般の中学生に向けた易しい説明では興味を惹けないかもしれません.学校説明会に来ている家族の中でも,中学生にはコレ,保護者にはこっち,というように,提供する情報(の詳細さ)や話し方を変えるだけで,(実は話していることは一緒だったとしても)話を聞いた全員を満足させられるかもしれません.


ぶっちゃけ,非常に平易な表現でいうと,”相手のことをいかに思いやって”話せるか=コミュニケーション能力の高さとも言えるかと思います.
この能力,いわゆる対外的な発表などで当然重要になってきますが,例えば”卒業研究の進捗報告”などでも必須の能力です.教員が欲しい情報を把握して,教員が欲しい形式で提供してもらえれば,それだけでミーティング時間の短縮につながり,お互いの理解が深まるので研究も進むというものです.

コミュ力以前の問題として,コミュニケーション自体の不足が問題となるような場合は論外です(実はこっちの状況も結構ある)が,頻繁にやり取りしているからといって相手が十分な情報を得られているか(コミュニケーションに満足しているか)は,必ずしも分からないので,注意しましょう.

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