2022/10/07

研究は楽しい ーただし、ただ楽しいだけではないー

 昨日,恐らく3年以上ぶり,要はコロナが流行する前ぶりに,卒研に従事しているウチの研究室の全学生さん(5名)と,対面&個別&(昼食は挟んだものの)ほぼぶっ通しで打ち合わせを実施しました.

ここ数年,対面でのミーティングはやったとしても年に年に1,2回,時間制限も設けた中でやらざるを得ませんでしたが,昨日のミーティングは全員とびっしりと実施した感覚がありました.

率直に言ってどの研究も,順調に進んでいるとは言い難い状況ではありますが,それぞれに何とか,年度末に向けた方向性は見えてきたように思います.にしても,ぶっ通しの打ち合わせが久しぶりだったせいか,自分が歳をとったせいか,もしくはその両方の影響か,終了後はかなりバテました。打ち合わせ自体、当たり前ですが真剣に臨んでいたからでもあるでしょうが,もしかすると”打ち合わせに必要な体力”みたいなものがあって,しばらくぶっ通しでやっていなかったので,その体力が落ちてしまっていたのかもしれません.

とはいえ,研究の話をすることは楽しいです.うまくいっているから楽しいとか,会話が楽しい,というのとは違って,内容がかなりネガティブなものであったとしても,進捗が滞っていたとしても,解決すべき課題の解決策が見つからずにウンウン唸っていたとしても,そういった苦労をすること(そして,それを経て苦労を乗り越えること)や,自分が予想していなかった課題や成果に遭遇することに楽しさを見出しているように,個人的には思います.

いわゆる,ゲームや遊びの楽しさとは違う楽しさでしょうね.こういった,苦労や大変さの中に”研究の楽しさ”を見出すことができないと,研究職に就くことはできないでしょうね.
ただ,こう言った能力というか考え方は,研究(開発)職に特有のもの(他の職業には不要のもの)かといえばそんなことはなく,どこに問題があるのかを見つけ(課題発見能力),どうやってその問題を解決していくのかを考え(課題解決能力),得られた成果を,伝えるべき人にどうやったらわかりやすく伝えられるか悩む(コミュニケーション能力)ことで,現代であればどのような職業に就いたとしても必要な能力を向上させられます.

そう言った意味で,自分は将来研究職に就くわけでもないのになんで卒研なんてやらなければいけないのか,という疑問に対する回答にもなるかと思っています.だからこそ,一般的な工学系教育機関では,卒業研究が必修科目になっているんでしょう(というか、卒研が必修でない大学があることが信じられません・・・そう言った能力がなくとも,それなりの仕事に就けるということなのか,そう言った能力が必要ない職業が主要な就職先候補なのか).

はっきり言って,研究活動の大部分は単純な楽しさとは無縁の,”地味で地道な”活動であることが多いでしょうが,そう言った活動の成果として(そう言った活動を経るからこそ),興味深い結果や新たな知見,発表を見聞きした人からの高評価などが得られた時,楽しさというか,充実感・達成感を感じられるのかもしれません.

活動が真面目なものであるからこそ,感情的にはリラックスして,柔軟な考え方で遊び心を持って臨んだ方が,むしろ課題の解決や新たなアイディアの気づきに近づくのでは、とも思っています(個人的には,「仕事は力を抜いて,遊びは大真面目に」というのが,特に博士後期課程に進学して以降の僕の生き方の方針です).
そう言った苦労・努力と,苦労・努力の先にある楽しさの両方を,卒研に従事する学生全員に味わって欲しいと思います.

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