2021/11/25

オンラインの功罪

 去る11月19日,今の所は今年度最初で最後の僕の口頭発表である基調講演が終了しました.ただ,これはちょっと流石に”無事終わった,とは言い難い”状況です(苦笑).

まず,これはこちらの事情ですが,あまりにも多忙過ぎてリアルタイムで(ライブで)発表がちゃんとできる自信がなかったので,事前に発表動画を録画し本番で再生していただき,質疑応答のみリアルタイムで,という形式にした点.
これは別の視点から見ればオンラインの利点,とも言えるでしょうね.ぶっちゃけ発表内容を覚える必要がない(今回,僕も100%発表内容が頭に入っていたかといえば,少々自信のない箇所がありましたし,そうなる可能性があったので録画にしたという経緯もあります).まぁ、対面オフラインの学会でもカンペ見ながら発表するような(1億歩譲って学生なら許せますが,そうでなければ本来,登場の時点で退場処分に相応しい)人もいるので一概にはいえませんが,覚えているかどうか,と言うより,覚えてしまうくらい練習を積んでいないと,そもそも自信を持って発表に臨めないし,さまざまな状況に対応できないのでは?と個人的には思っています.

実施する対象が授業なのか,学会発表のようなイベントなのか,もっとフランクな座談会,ワークショップ的なものなのかによっても違うでしょうが,良くも悪くも一方通行的なイベント(発表者以外はあまり発言しない/できないようなイベント)であれば,表向きは問題が起こりづらいですよね.授業の場合,

  • どこからでも参加できる
  • 録画をとっていれば後日見直して復習できる
といったメリットもあり,学会などのイベントでも前者は同様かと思いますが,双方向的なやりとりをしない/できないとなると,どうしても授業が単調になって飽きられやすくなったり,単純に理解しづらくなるということもありますよね.

今回の基調講演は,いわゆる”ハイブリッド形式”(現地でオフライン参加する人もいれば,オンラインで参加する人もいるスタイル)でのシンポジウム内で行ったのですが,何といっても

”オフラインでの質問=現地会場の参加者からのマイクを通した質問が悲劇的に聞きづらい”

のが大問題でした.
現地の人は会場のスピーカーで問題なく聞こえているのかもしれませんが,オンライン参加者にとっては,質問者とマイクとの距離やその他ノイズ,会場スピーカーからマイクに改めて入ってくる音声によるエコーなどの影響で,もう正直いって何をいっているのかさっぱり分からないという状況でした.

ただ,これも質問者によって違って,知ってか知らずか,上記のようなノイズやエコーが入りづらい喋り方(マイクの使い方?)ができる人もたまにいたりと,必ずしも常に聞きづらいわけではないのですが,オンラインでの発表音声&オンラインでの質問音声は常に問題なくクリアに聞こえる(少なくともオフラインでの音声よりは確実に)ので、これはハイブリッド形式特有の問題かもしれません.

現地に行かなくても参加できるというのは,ある面では強力なメリットであるものの,完全にオンライン or オフラインに振り切ってしまった方が,運営側にとっても参加する側にとっても,少なくとも発表や質疑の環境だけにフォーカスしたら快適なんだろうな,ということに気がついたのが,実は今回の最大の収穫だったかもしれません.

一方で,今回ダメだったからもうダメだ,と思っているわけでは全くなく,上にも書いた通り,ちゃんとできている(聞き取れる質問ができる)オフライン参加者もいたので,”正しい方法を身に付け”さえすれば,ハイブリッドでも違和感ややりづらさを感じることのないイベント参加・運営の方法を模索していけば良いのだと思います.
コロナ禍自体は当然,今後どんどん改善・解消していって欲しいと思うものの,今回得られた様々な正負の経験は全てしっかりと生かしながら,コロナが去ったから全部対面に戻す,みたいなことでなく,ベストなハイブリッド,ベストなオンライン,それらを踏まえたベストなオフラインのイベント実施・参加ノウハウをマスターしていきたいところです(で,その時々に応じたベストな形式でイベント参加できれば,むしろオフラインのみの場合よりも生産性は確実に向上するのでは,と期待しています).

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