2020/12/26

2020年を振り返って その2

 研究面でのお話をざっくりと前回、記述しましたが、今度は授業関係について.

これはモロに学生の皆さんにも関係する話題ですね.
皆さんにも是非聞いてみたいです.今年の授業はどうだったでしょうか?

どんなことにも良い点,悪い点がありますが,今年度の授業実施形態についてはまさに,様々な視点でその両面があったように思います.
まず,今年度の東京高専での状況をおさらいすると,新年度早々の入学式は中止,引き続いて4月から2ヶ月は対面授業を中止.5月から,一部授業について遠隔授業が始まり,6月に入り対面授業が一部再開(一部は遠隔),後期はこれまで2回臨時休業がありました.

対面授業の実施にも遠隔授業の実施にも様々な立場から賛否両論があるかと思いますが,ここでは個人的な感想と考察,そして来年に向けた将来的な観点で書いてみます.

1.準備について

率直に申し上げて,学生教員双方に,環境面・技術面はもちろん,心の準備という面でも準備は足りなかったと思っています.そりゃそうですよね.前回のエントリで書いた震災ほどの突発性はないにせよ,1月下旬あたりに感染事例が報告され,その後国内で感染者が確認されて以降は文字通り”あっという間”に休業まで行ってしまった感覚ですから,止むを得ない面はあります.
ただその一方,遠隔授業のある面におけるメリットや可能性については議論されていて,遠隔授業の実施を試行しようといった流れはあったものの,何のきっかけもなくじゃぁ遠隔に,となっても中々その流れは進まなかったのでは,とも思われるため,否応なく遠隔授業を実施せざるを得なくなり,やってみたらやはり大変な面はあったものの収穫もあった,という”経験”は非常に重要だと思っています.
個人的には,授業までの遠隔化経験はなかったものの,実はここ数年で課題の提示や収集は徐々にオンライン化を進めていたので(在外研究での海外滞在期間中に準備を進められました),一から十まで一気に遠隔化,というほど大変でなかったことは救いでした.ただ,学生の皆さんにとっては慣れない遠隔授業で苦労した部分がかなり多かったのではないかと思います.ある程度学年が上になると,むしろ”早起きしなくて済む”(苦笑)とか,わざわざ学校に行かずに授業を受けられるというメリットの面もあったかと思うものの,入学早々休業で,授業が始まったと思ったら遠隔で,という新1年生の皆さんは,かなり大変な思いをしたのではないでしょうか?僕は5月早々の1年生向けの遠隔授業も担当したので,そこでの学生の皆さんの困惑ぶりを目の当たりにもしていますし,授業を行う教員の側もかなり手探り状態だった記憶があります.また,学年が上であったとしても,例えばこれまで授業担当などでの付き合いがなく,実質初対面が遠隔授業となると,教員としては学生の顔と名前が一致しない,当然,各学生がどんなキャラクタの学生なのか分からないというのは,非常にやりづらかったです(これは学生の皆さんも同様でしょう.この人どんな先生なの?というのが分からないと,授業も受けづらいのでは・・・).

授業準備も実際大変でした(一部現在進行形)が,これに関しては一度ベースの資料を作ってしまえば,2年目以降の負担はかなり軽くなることが予想できるので,実質”今年度限り”の苦労です.ただ,上述のとおり来年度も新入生は当然入学してきますし,初対面の学生を対象にいきなり遠隔授業,というシチュエーションもあるでしょうから,この辺りを,今年度の状況を踏まえてどうやってスムーズに快適に授業が実施できるか(授業を受けてもらえるか)がカギとなってくると思います.

2.技術面・環境面について

1.で書いたこととも関係しますが,今回は緊急,想定外,かつ,”やらざるを得ない”状況であったがため,当然,技術面・環境面での準備がバッチリ整っていていつでもWelcomeな教員はいなかったかと思います.当然,学科による違いや,文系科目理系科目の違いに加え,教員が教材や授業のオンライン化にどの程度興味があるか(誤解を恐れずに言えば,前向きであったか),実際に準備をしていたか,準備ができる機材的,技術的,時間的,心理的な余裕があったか(あるか)と言った様々な要因で,いわゆるスタートラインがどの程度前後するか,そもそもスタートラインに立てるかと言ったところにかなりの差が生じた印象があります.

例えば,在宅勤務であった場合,自宅のネット環境やPCのスペック,音響設備の充実度はかなり影響がありますし,じゃぁ学内で授業をするとなったら十分な環境が整っているかと言えばそうでもない(苦笑).個人的には,PCのスペック的には(流石に?情報工学科所属ですので)問題はないと考えていましたが,カメラとマイクについてはいまだに十分に満足していませんし,遠隔授業中の”板書に変わる手段”としてのタブレットないしは液タブについては,自宅と学校で格差があります.また,授業資料についてはそれこそ,現在のものが遠隔授業用としてどの程度マッチしているのかは,100%の確信を持っては使用できていませんので,資料の改善はもちろんのこと,インフラ面での改善も急ピッチで進めていきたいと思っています.ただし,これについては教員個人でできることには限界がありますので,学校全体としての環境整備・改善はmustでしょう.

また,当然と言えば当然,学生の皆さんの側も好むと好まざるとに関わらず遠隔授業が始まってしまったわけで,受講環境にどうしても差が出てきてしまうという点はある程度避けられない状況でした(いや,現在進行形ですね・・・).教員の側は,受講環境の差によって理解度や,それこそ単位取得率に差が出ることは可能な限り避けなければいけないわけで,そう言ったところも意識しつつ資料や課題を準備するわけですが,そもそも提供する側の教員にも環境や準備状況の厳然たる差が生じてしまっているわけで,ますます対応が難しかったというのが今年度であったと思います.
このような差が”生じたまま”という状況は今後絶対に避けなければいけないので,少なくともギャップを少しでも埋めるための,可能な限り解消していくための工夫や,環境の改善を進めていく必要があるでしょう.教員一人一人ができることはやりつつ,加えてやはり,高専全体での環境整備や制度変更も必要になってくると,個人的には思っています(必要になってくる,とは思っていますが,実際に行われるかどうかは,僕個人ではどうしようもコントロールできないところが悩ましいところ).

・・・今年度の遠隔授業については,個人的な観点から考察してもまだまだ言えることがあるのですが,流石にかなりの文章量となってきたので(^o^;; 来年に向けて,については,別なエントリに分割して(近日!?)改めてアップしようと思います.

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