2022/03/04

追記 ー良い(まともな)文章の書き方ー

 一昨日紹介した雑誌特集の中で取り上げられていた書籍

「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた

ですが,東京高専の図書館にも所蔵されていることがわかり,買うより借りた方が早い(笑)ということで早速借りてきました.パラパラとめくってみていて,個人的にさらに(特に学生の皆さんにとって)重要だと思われる&誤解が無いように補足しておかなければいけないポイントがいくつかあったので追記します.

個人的に最も重要,かつ,勘違いしてはならないのは

  • 文章は必ず「推敲」する

というポイントです.先のエントリで,

文章が上手くなるための近道は、書いた文章を誰かに見せて、「添削してもらうこと」にほかならない。

という部分を引用しましたが,ここでいう添削とは.”書いた文章を見直し(推敲)もせず添削者(教員)に丸投げすること,と勘違いしないようにしてください.
そもそも僕の場合,誤字脱字が多かったり,話の内容がさっぱりわからない場合は「読めない」といってそっくりそのままお返しします.最低限,日本語で書かれた文章として読めるレベルの状況には,自分自身でしてください(というか,それさえできない学生は・・・悲しいかな結構な数いるんですが,それこそ,トレーニングしてできるようにならないと,特に社会人になってから地獄を見ます).

教員が(また,引用先の文章でいう「誰か」が)見るのは主に

  • 表現上拙い部分がないか
  • ストーリーの展開に不自然な部分がないか
  • 事実が正確に,過不足なく記載されているか

といった部分で,誤字脱字や”てにをは”の誤りを指摘することは,本来指摘すべき項目にたどり着く遥か前段階で,そこから添削なんてしていたら日が暮れるどころか,”本当の添削がそもそも終わらない(始まりさえしない)”です.

文章作成が一人前にできるといえる必要条件は,”自分の文章を「第三者の視点で」客観視して見直し,修正することができる”ことかと思います.それができなければ,常に誰かに見てもらわなければいけないことになります.ここまで到達するにはかなりの修行が必要ですが,教員をはじめとする誰かに見てもらう前に,自分自身でおかしなところがないか推敲する癖をつけることが,必要条件をクリアするための最初のハードルになります.

ちなみに上で述べた,教員が見る部分の3つめですが,これはいわゆる理工系や報道系の分野に特化した観点でしょうね(詩や小説といった分野は,そもそもフィクションの世界であることが多いでしょうから,その場合,事実関係云々は添削の観点からは外れるでしょう).


  • 比喩・たとえ話を積極的に使う

比喩・たとえ話を使うのは,いわゆる理工系の文章(例えばレポートや論文)ではむしろNGとなる(というか,いらぬ誤解を与える)可能性が高いです(我々の添削対象として「事実が正確に」記載されているか,という観点がありました.いわゆる本格的な比喩やたとえ話を用いて,事実がより正確に/わかりやすく伝わることもあり得ますが,これはかなりの高等テクニックだと思います).

むしろ,特に学術論文や発表資料などでは,”実例を挙げる”ことで読者の理解を助けられることが多いです.例えば抽象的な概念を対象とする場合には,それを現実の場面に置き換えたらどう表現できるか,とか,具体的なシステム・手法が対象である場合には,それを具体的にこれこれこういった環境に適用したらこうなる,といった例があることで,読んで/聞いている人々もイメージがしやすくなる訳です.

まだ,借りた書籍の冒頭しか読んでいませんが,「はじめに」のページに書いてあるとおり,この本の対象となる読者はあらゆる分野の人となりますね.もちろん上のように,このポイントは自分の分野ではこう置き換えられる,といったように,一部翻訳や変換が必要になる部分もありますが,むしろそういったことを意識して読めるようになっていること自体,自分の文章術が向上している証拠と言えるかもしれません.

そういうわけで当該の書籍ですが,現在僕の手元にあるものの,東京高専の学生は図書館で借りられます.まずは借りて読んでみて,これは,と思ったら購入して手元に置いておく,という手もあるかと思いました.

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