2023/04/15

メタ認知 ーマインドフルネスにも通じる自己観察ー

年度末,年度はじめも比較的読書は(細々と)続けていたのですが,とにかく多忙でアウトプットの時間がほとんど取れませんでした.とはいえその間何冊かは読了したのですが,幸か不幸か“ハズレ”の書籍が多く(苦笑),アウトプットの暇もないし,アウトプットしたくなる書籍もなかったというところでした.

そんな中,この本はちょっと面白いな,と思ったのが

メタ認知 ーあなたの頭はもっとよくなるー (三宮真智子 著,中公新書ラクレ)

皆さんも見聞きしたことがあるかもしれませんが,「メタ」というのはいわゆる「より上位階層の」という意味合いで,メタ認知というのは要は、“認知に対する認知“です.本書曰く,心理学分野における認知というのは,頭を働かせるあらゆることを指すとのこと.ですのでメタ認知とは例えば,“「自分は今こんなことを考えている」ということを一つ上から観測している“といったイメージになります.

何らかの感情や思考をしている自分を,もう一人の自分が上から見ている,とも言えるかと思いますが,それが効率的に,また,意識的にできるようになると,例えば現在の自分の状態を客観的に確認して,より効率的な方向へと改善したり,怒りや焦りといったネガティブな感情に囚われる前に,自分の状態をポジティブ(少なくともニュートラル)な状態へと引き戻すこともできるようになることが期待できます.

とはいえ,書くのは簡単,行うのは難しいのがメタ認知だと個人的には思っていて,実際,メタ認知をしっかりとできるようになるにはそれなりの“修行“が必要なようです.例えば,メタ認知のための知識が不足していたり,自身の状態を知るための方法に不足や誤りがあれば,誤った認知をしてしまい,その結果,状態を改善できないどころか,むしろ改悪してしまうこともあり得るでしょう.

とはいえ,本書に紹介されたような自身の状態をモニタリングする方法や,メタ認知を通して自身の状態を改善するための知識などを蓄積していくことで,メタ認知のスキル自体が上がっていくことも期待できそうです.

一方,本書の後半の一部では,メタ認知とは全く無関係ではないのでしょうが,効果的なものの考え方や,思考力を改善するための協働の仕方,環境の整え方,といった“脇道的な“(補足的な?)内容にも触れています.この辺りの部分も含めてびっしりメタ認知についてコンテンツを埋めてもらっても良いくらいだと,個人的には感じました.

書籍を読んでいて全般的に感じたことは,ここ数年,よく読んできたマインドフルネス(心を落ち着け,現在の自分の状態をそのままにスキャニングすることで心身状態をニュートラルに持っていく取り組み)にも通じるものがあるなというところ.先日読んだ仏教における瞑想はほぼマインドフルネスそのものですが,メタ認知によっても,現在の自分の状態をモニタリングする点では同様と思います.マインドフルネスの場合は,モニタリングしたその情報をそのまま受け入れる一方,メタ認知の場合は,その情報を踏まえてどのように自分の状態を良い方向を持っていくか,実際の方策を通して行動を取るための方法論,という印象を持ちました.

上述の通り一部脱線した感もあったものの,全体を通して見るとよくまとまっていて,メタ認知に関する初心者だけではなく,ある程度具体的に活用したい,実践したいという人にとっても読む価値のある書籍だと思いました.

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