2021/03/06

研究室に配属される学生に望むこと

専攻科生は特別研究論文の提出が終了したものの,(このブログの執筆開始日=2月末の時点で)5年生はまさに提出締切が週明けという現在,4年生は研究室配属の希望調査の真っ只中,という状況かと思います(途中で執筆を一休みして間が空いたので、このブログのアップは卒論提出完了後となりました).

今日,今から書くことは,縁あって北越の研究室に配属されることになった学生の皆さんに期待すること,および”これは絶対に守ってほしい”ということがメインとなっていますが,例えば1年生や2年生のタイミングで僕の研究室での研究内容に興味を持ち,「5年になったら配属されたいなぁ」と思っている学生の皆さんにとって留意しておいてほしいことも含んでいます.あくまで北越個人の期待や要望なので,研究室によっては当てはまらない条件があるかもしれませんが,恐らく,大なり小なりどの研究室でも必要であったり,そのくらいはおさえておいて欲しいという要素かと思います.

1.報告・相談は頻繁に

今も昔も,研究に限らずあらゆる活動の大前提であるにも関わらず,多くの学生が十分に(もしくは全く)できないのがこれ.そして,個人的な感覚として,この報告・相談が”最も必要な時に限って全くできない/できなくなる”という学生が多いのも悩ましいところ.
卒研や特研などの研究に関していうと,特に5年生は研究活動自体が初めての経験であり,本人が「進んでいる」と思っていても,実は盛大に間違えていたり,猛烈に遠回りしていたりする場合が非常に多いです.奇跡的に(?)順調に進んでいる(ように見えた)としても,研究を進めるにあたっては様々な”不測の事態”が起こるので,そういった状況が極力発生しないように備えながら進めていく,という意味でも,指導教員と学生は密に連絡をとっておく必要があります(そもそも,”答えが分かっている研究なんて研究とは言わない”わけで,教員も当該分野についての基本知識があったとしても,完全に答えが分かっているような研究を対象にすることはありません・・・というか,そんな研究つまらないのでやってもしょうがないですね).
研究に従事する学生の状況が分からなければこちらからもアドバイスのしようがないので,実際にどのような状況になっていようとも,手を出せなくなります.当然,研究活動に手を出せない=責任を持てない,ということになるので,報告・相談がない状況のまま,結果として卒研が終わりませんでした,となっても教員としてはアドバイスもレスキューもできません(というか,そのような学生であればレスキューしたいとは思えないのが人情でしょう・・・仕事ですからレスキューしますが).

2.研究テーマの選択は慎重に

大前提として,北越に限らずどの研究室でも”今,取り組んでいる研究”というものがありますし,当然その中には”やって欲しい(やってもらわないと困る)研究”といったテーマが含まれている可能性があります.
例えば,高専に入学して(場合によっては入学前から),ある教員の研究に興味を持ち,ずっとその希望を持ったまま当該教員の研究室に配属され,いざ当該のテーマを希望してみたら,「そのテーマはもう全部やり尽くしたから、今はやっていないよ」とか「(成果の有無に関わらず)そのテーマは今のトレンドに合わないので,○年前にプロジェクトは終了したよ」といった回答をもらって愕然とする・・・といったことが少なからずあります.
特に工学系の場合,その分野の特徴としても,応用研究が多いということからも,社会の要求という側面が大きくなります(要は、やることで社会に役立つ(可能性がある)こと,今後重要になる(可能性がある)こと,について重点的に取り組む傾向が強い).加えて,研究室に所属する学生の数や,教員が一度に取り扱える研究テーマの数にも限りがありますので,研究費を獲得していて,今年度進めなければいけない研究テーマに従事してくれる学生が一人もいない、ということは避けなければいけませんし,逆に,一人いれば十分なテーマに3名も4名も希望者がいる,という状況もある意味悩ましいことになります.
ある教員の研究分野を考えた場合,応用先はそれぞれのテーマで限定されるでしょうが、基盤となる理論や技術(北越の場合,機械学習やエージェントシステム,確率モデルに関する諸々)は共通していることが普通なので,「このテーマ以外はあり得ない」と言われてしまうと非常に困りますし(おおもとの理論は一緒 or 類似しているので,理論面でやりたいことはアプリケーションに関わらず大体の場合はできますし),実際,当該テーマ=同じアプリケーションをネタにしたテーマにはどうやっても従事させられない,という状況が比較的よく起こるということは意識しておく必要があります.

3.勉強の成績と研究能力に、正の相関は必ずしもない

自分はこれまで高専の勉強を頑張ってきたし成績もオールAだから,当然卒業研究も問題なくまとめられる(良い成果を出せる),と考えるのは時期尚早です.ある意味,いわゆる学校の勉強と研究活動は,必要とされる資質がかなり違います(これはもしかすると,学校教育の問題かもしれませんが).
例えば学校の勉強では,覚えるべきもの(歴史上の出来事や公式など)を覚えて,繰り返し問題を解いたりすれば成績はついてくるかもしれませんが,研究の場合,基盤技術についての知識を完全に覚えていたからといって良い成果が得られるとも限りません.そもそも,指導教員さえが答えを知らない状況で研究はスタートする(繰り返しになりますが,答えが分かっているテーマは原則,研究にならない)ので,当初見込んでいた予測が外れていたり,実験をやってみたけれど失敗した,なんていうことはザラです.むしろそれを受け入れて,その結果を踏まえてどうやって軌道修正しながら目的に向けて進めていくのかが重要です.ざっくりとしてタイムスケジュールはありますが,締切らしい締切と言えば,中間発表や最終発表の資料提出,卒業論文の提出締切など限定的で,毎週課題がある一般の授業とも異なります.
学生一人一人で得意分野も違うし,場合によっては経験のない作業を行うことになるので,学生自身もどのくらいの時間で作業が終えられるかわからない,ということもあります.そのような中で,ある種”自分で締切を設定”しながら,状況に応じて”作業内容や,場合によっては締切自体,研究目標自体を修正”せざるを得なくなることもあります.そういった状況を学生一人で解決するのは難しいので,研究経験が豊富な教員がアドバイスすることになりますが,(モロに1.と関係しますが)後戻りできない状況になるまで連絡も報告もなかったり,自分では上手くいっていると勘違いして突き進んだものの,教員に報告したら実は全く違う方向に進んでいた,なんていうある種のギャグに近い状況(とはいえ全く笑えない)も起こります.
教員から指示されたことさえできない,というのは論外ですが,言われたことだけやっていれば良い研究ができるというわけでもありません.レアな確率で,教員の指示通りやって良い成果が挙げられた,という場合もあるかと思いますが,ちょっと考えてみてください.そこに学生自身のアイディアが一切含まれていない卒業研究は,その学生の研究ではなく,むしろ教員の研究ですよね?(卒業)研究というのは,従事する当人の創意工夫や試行錯誤の結果,これまで明らかになっていなかった and/or これまでできていなかったことが明らかになる and/or できるようになることが成果になりますので,そういった点で学生の自主性,主体性が「良い研究を行う」ための条件となります.
では逆に,学校の勉強ができなくても良いのか,というとそうではなくて,研究を進めるに当たっても基本的な知識は授業で学んだことが少なからず含まれますし,自分が知らない知識を素早く入手し自分のものとするためには,いわゆる学校の勉強の手法が非常に有効である場合が多いですから,「自分は研究はできる(と思う).だから学校の勉強は頑張らない」というのはやめてください(そもそも,卒業研究ができる状況まで辿り着けない可能性も低からず出てくるでしょう).

※ 一点補足です.1年間(専攻科は2年間)頑張って研究した結果,予想した成果が出なかったら卒業・修了できない,とは限りません.自身では全く研究を進められず,”何もやってないから成果も出ない”場合には如何ともしがたいですが,いろいろと試行錯誤してうまくいかず,結果的にタイムアップになってしまったという場合,それはある意味では全く失敗でなく,”最終的な成功に向けて,うまくいかなかった事例を収集できた”という成果になります.上述の通り,ある研究の答えが事前に分かっているということは通常あり得ないので,やってみるまでは簡単だと思っていたのに,やってみたらメチャクチャ難しかった,ということも当然あり得ます.難しいのであれば,1年や2年で成果を出すのは難しいということもありますし,成果が出たとしてもそれで研究終了ではなく,成果の中にも課題があったり,課題ばかりのこともあるでしょう.そして,それらを翌年度以降の後輩が引き継ぐ,ということもあります(継続研究等と呼ばれるものは,これらの類の研究です). 


書いていると,昔のことから最近のことまで,研究指導をしてきて苦労してきた記憶がどんどん蘇ってきますが(苦笑),これまでの内容を簡潔にまとめると,
・視野を広く持って(自分はこれしかやりたくない,といったこだわりを捨て)
・指導教員とよく相談してテーマを決め
・研究を進めるに当たっても,セルフジャッジすることなく教員と頻繁にやりとりしながら
・主体性と積極性を持って活動する
のが,最低限”途中で座礁したり遭難したり行方不明になったりすることなく”,研究をゴールまで到達させるための必要条件かと思っています.

では,十分条件は何?という話も出てくるかと思いますが,これについては僕も完璧な答えは持っていないように思います.が,自分が考える「これ」というものはいくつかあります.これを書き始めると恐らく,ブログの文章量が今の5倍くらいになる(論文一本分くらいは書ける)ような気がするので,興味のある人は直接問い合わせてもらえればと思います(北越の研究室に配属された学生さんは,折に触れて豆知識的に触れる機会があるかもしれません).

2021/02/01

年度末の気分

今年度,と言う意味ではまだあと2ヶ月ほど残っているわけですが,先週末には専攻科の特別研究発表会が行われ,明日(2月2日)はウチの学科の卒業研究発表会と,昨年度スタートした社会実装プロジェクトの,2回目の報告会が開催される予定です(報告会の方は卒研発表会とバッティングしているので,ほとんど参加できなさそうですが・・・).

この手のイベントが立て込んでくると,個人的にはすっかり“年度末”の雰囲気なんですが,年度末の定期試験は来週だし,卒業・修了・進級関連の会議は当然それらの後,卒業式は当然さらにその後(3月中旬)ですから,客観的には確実に“気が早い”という状況です(苦笑).
今年度は、多くの人が集まるイベントや対外的な行事がことごとくできなかった一方、遠隔授業の準備や、例年だと1箇所に集合して行うものをオンラインでやるための準備もあり、早くすぎた感と,やたらと長かった感が共存している不思議な感覚がありますが,ただ一つ確実なことは,

”メチャクチャ疲れた”

 まだ年度末にもなっていないのにこの感覚で,残り2ヶ月の間にも重要な仕事・イベントは目白押しなので,本当に年度末を終えた頃にはどうなっているか恐ろしいですが,来年度,この経験を活かして少しでも楽になるのであれば・・・と期待(祈念)しているところ.

年度末には国際会議(オンライン).もあるし,国際会議論文の査読依頼も今日一件入ったし(苦笑),国内学会もあるので,研究方面も年度末ギリギリまで結構充実した(過酷な)日々を過ごすこととなりそうです.

2021/01/25

今年もよろしくお願いします

 前回投稿から約1ヶ月ほど経ち,早くも2021年の12分の1が経過しようとしている現在,コロナ周りはある意味相変わらず,特に首都圏は悪い意味で現状が維持されているような状況ですね.前回,年末のエントリでは「来年度に向けて」ということでいくつか計画や希望を記述していました.

環境整備は,少しずつ進めてはいるものの,その一方で我々が使用している遠隔授業用ツールであるMicrosoft Teamsの”仕様変更が激し過ぎる/頻繁過ぎる”おかげで(苦笑),予測不能な変更に対応しつつ環境を整備する,という中々なタスクに新年早々取り組んでいます.
実際に授業を受講している学生さんにとっては,授業を受講しつつ環境改善(の試行)がどの程度うまく機能するかを,その身を持って評価してもらっているという状況で,試した結果イマイチだった,と言った評価もあり得るかと思います(先日はiPadのsidecar = iPadをデュアルディスプレイの一つとしての利用を試してみましたが、iPadのスペックの問題か、当日の通信状況が悪かったせいか,途中で接続が切れるというハプニングがありました).
できるだけ早く,より良い環境構成で受講しやすい授業を実施できるようにしたいと思っていますが,そればかりに専念できる状況でもなく,もうしばらく時間がかかるかと思いますが協力お願いします > 僕の授業受講者の皆さん

研究まわりでいうと,今はまさに本科5年生と専攻科2年生の”最終発表直前ウィーク”なので,ボチボチ論文や要旨の添削,発表資料の添削や発表練習指導などなどで忙しくなる・・・はずなんですが,ある意味恐ろしいことに今年度はそれほどでもありません(間に合うんだろうか).年度末の学会発表要旨を作成した学生はあまり心配していませんが(既に外部向け資料を作っているので),残りの人が今週いっぱいでどのくらい仕上げてくるのかが気になる≒不安な状況です. #発表会は週明け

OBとの共同研究でいうと,3月にUKで開催される(とはいえ我々はオンライン参加予定の)国際会議 ICISS2021 (2021 The 4th International Conference on Information Science and Systems) へのcamera ready manuscriptの投稿が完了し(ページ数の上限をオーバーしていることが判明して少々extra chargeをとられることになったのはご愛嬌),恐らく特に問題なく発表できる予定です.テーマとしては既に昨年台湾でも発表しているものなので,発表資料のかなりの部分は使いまわせるハズ.今年度という括りでいうと,このままいけば(全部オンラインですが^o^;;)3回発表することとなり,久しぶりに海外での発表頻度が高い年度となりそうです(例年は,多くても2回です).

遠隔授業やオンライン発表などは来年度も少なからず続くかと思いますが,少しでもon siteでの学会参加や,対面授業が増えるような改善の兆しが見えることを期待しています(とはいえ,上半期は厳しいですかね・・・).

2020/12/28

2020年を振り返って その2の2

前回,遠隔授業について書いていた”その2”の続きなので,”その2の2”とナンバリングさせてもらいました.
前回、今年度の大きな出来事として遠隔授業を取り上げ,1. 準備について、2. 技術面・環境面について考えてみましたが,今回は残る一つとして,以下のテーマを考えます.

3. 来年に向けて

遠隔授業に限った話ではありませんが,恐らくコロナを取り巻く現在の状況は単純に年や年度が変わったからと言って一気に好転するようには見えないので(ワクチンが普及すれば変わってくるのかもしれませんが),それを前提として今後どうすべきか,考える必要があるかと思っています.
今回は遠隔授業をテーマとしていますのでそこにフォーカスして考えると,前のポストでも書いた通り,今年度かなりヒィヒィ言いながら作ってきた授業資料があることが,かなりのアドバンテージとなるのは事実でしょう.もちろん,今年度の学生の皆さんからのフィードバックを踏まえた改良は必須ですし,”どこをどれだけ”変える必要があるかは十分に吟味の上,変えるべきは変え,変えないところは変えずに行きたいと思っています(社会実装とも関連しますが,サービス提供対象者のあらゆる意見を全て聞くこと ≠ 最良のサービスであるところが,難しいところであり,面白いところ).

可能であれば,最も大きく変えていきたいところは,授業を受ける学生の皆さんとのInteractionは,より多様に,かつ頻繁にしたいと思っています・・・が,遠隔授業のプラットフォームでそれを実現する場合,こちら側はもちろん受講側の環境もそのような改善を実現可能なインフラとなっている必要があることが悩ましいところ.一部学生は受講端末がスマホだったりしますので,スマホのような小型の端末であったり,通信環境が必ずしも高速でないような場合でも実現できる方式を用意しつつ,参加者全員の環境がある水準以上である場合には,そのような環境ならではのinteractionの方法も用意しておきたいです.
そう言った意味では,今年度以上に”対話のための選択肢を多く用意しておきたい”というのが,来年(度)の具体的な目標となりそうです.

もしかすると,そんなところ気にしてもしなくても受講する側は関係ない(むしろウザい)と思う学生も少なからずいそうな気がしますが,これまでの経験上,そして現状は決して十分な分量ではありませんが,今年度の遠隔授業で得られたデータをもとに分析すると,実際にできるかどうかは別としても,教員に意思を表明しようとしてくれる学生さんの方が,総体的にみて単位取得に苦労しない(=心配な状況となる前段階で教員が気付ける)印象があります.これは,遠隔/対面に関わらず共通した部分と思う一方,interactionの手段が急激に制限された現在,特に顕在化した一面だと思います.
意思を表明しやすい状況を作ること,意思を表明できる手段を用意しておくことで,多少なりとも授業を受けやすい,研究活動に従事しやすいと思ってもらえるだけで,ストレスは減るのかな,と.

個人的な工夫は必須として,やっぱり組織的な改善も重要だと思っていますが,こればかりは自分一人の意思ではなんともならない部分がありますから,そこは”0ベース”と見なしておき,サポートがあったらラッキー(苦笑)くらいに思っておきたいですね.

取り急ぎここ数週間の間で,ハード面で不安なく授業が実施できるような整備を進め,特に音声入出力と,手書き文字入力の環境を改善できればと考えているところ.ただこの辺りも,実は改良したはずが受講側にとっては改悪になっていた,みたいなことは十分にあり得るので,例えば年明けのある授業で僕が「○○,新しくしたんだよね♪」と言っていたとしても,具合が悪いようであれば「それ,改悪です」と教えてもらえると嬉しいです.

2020/12/26

2020年を振り返って その2

 研究面でのお話をざっくりと前回、記述しましたが、今度は授業関係について.

これはモロに学生の皆さんにも関係する話題ですね.
皆さんにも是非聞いてみたいです.今年の授業はどうだったでしょうか?

どんなことにも良い点,悪い点がありますが,今年度の授業実施形態についてはまさに,様々な視点でその両面があったように思います.
まず,今年度の東京高専での状況をおさらいすると,新年度早々の入学式は中止,引き続いて4月から2ヶ月は対面授業を中止.5月から,一部授業について遠隔授業が始まり,6月に入り対面授業が一部再開(一部は遠隔),後期はこれまで2回臨時休業がありました.

対面授業の実施にも遠隔授業の実施にも様々な立場から賛否両論があるかと思いますが,ここでは個人的な感想と考察,そして来年に向けた将来的な観点で書いてみます.

1.準備について

率直に申し上げて,学生教員双方に,環境面・技術面はもちろん,心の準備という面でも準備は足りなかったと思っています.そりゃそうですよね.前回のエントリで書いた震災ほどの突発性はないにせよ,1月下旬あたりに感染事例が報告され,その後国内で感染者が確認されて以降は文字通り”あっという間”に休業まで行ってしまった感覚ですから,止むを得ない面はあります.
ただその一方,遠隔授業のある面におけるメリットや可能性については議論されていて,遠隔授業の実施を試行しようといった流れはあったものの,何のきっかけもなくじゃぁ遠隔に,となっても中々その流れは進まなかったのでは,とも思われるため,否応なく遠隔授業を実施せざるを得なくなり,やってみたらやはり大変な面はあったものの収穫もあった,という”経験”は非常に重要だと思っています.
個人的には,授業までの遠隔化経験はなかったものの,実はここ数年で課題の提示や収集は徐々にオンライン化を進めていたので(在外研究での海外滞在期間中に準備を進められました),一から十まで一気に遠隔化,というほど大変でなかったことは救いでした.ただ,学生の皆さんにとっては慣れない遠隔授業で苦労した部分がかなり多かったのではないかと思います.ある程度学年が上になると,むしろ”早起きしなくて済む”(苦笑)とか,わざわざ学校に行かずに授業を受けられるというメリットの面もあったかと思うものの,入学早々休業で,授業が始まったと思ったら遠隔で,という新1年生の皆さんは,かなり大変な思いをしたのではないでしょうか?僕は5月早々の1年生向けの遠隔授業も担当したので,そこでの学生の皆さんの困惑ぶりを目の当たりにもしていますし,授業を行う教員の側もかなり手探り状態だった記憶があります.また,学年が上であったとしても,例えばこれまで授業担当などでの付き合いがなく,実質初対面が遠隔授業となると,教員としては学生の顔と名前が一致しない,当然,各学生がどんなキャラクタの学生なのか分からないというのは,非常にやりづらかったです(これは学生の皆さんも同様でしょう.この人どんな先生なの?というのが分からないと,授業も受けづらいのでは・・・).

授業準備も実際大変でした(一部現在進行形)が,これに関しては一度ベースの資料を作ってしまえば,2年目以降の負担はかなり軽くなることが予想できるので,実質”今年度限り”の苦労です.ただ,上述のとおり来年度も新入生は当然入学してきますし,初対面の学生を対象にいきなり遠隔授業,というシチュエーションもあるでしょうから,この辺りを,今年度の状況を踏まえてどうやってスムーズに快適に授業が実施できるか(授業を受けてもらえるか)がカギとなってくると思います.

2.技術面・環境面について

1.で書いたこととも関係しますが,今回は緊急,想定外,かつ,”やらざるを得ない”状況であったがため,当然,技術面・環境面での準備がバッチリ整っていていつでもWelcomeな教員はいなかったかと思います.当然,学科による違いや,文系科目理系科目の違いに加え,教員が教材や授業のオンライン化にどの程度興味があるか(誤解を恐れずに言えば,前向きであったか),実際に準備をしていたか,準備ができる機材的,技術的,時間的,心理的な余裕があったか(あるか)と言った様々な要因で,いわゆるスタートラインがどの程度前後するか,そもそもスタートラインに立てるかと言ったところにかなりの差が生じた印象があります.

例えば,在宅勤務であった場合,自宅のネット環境やPCのスペック,音響設備の充実度はかなり影響がありますし,じゃぁ学内で授業をするとなったら十分な環境が整っているかと言えばそうでもない(苦笑).個人的には,PCのスペック的には(流石に?情報工学科所属ですので)問題はないと考えていましたが,カメラとマイクについてはいまだに十分に満足していませんし,遠隔授業中の”板書に変わる手段”としてのタブレットないしは液タブについては,自宅と学校で格差があります.また,授業資料についてはそれこそ,現在のものが遠隔授業用としてどの程度マッチしているのかは,100%の確信を持っては使用できていませんので,資料の改善はもちろんのこと,インフラ面での改善も急ピッチで進めていきたいと思っています.ただし,これについては教員個人でできることには限界がありますので,学校全体としての環境整備・改善はmustでしょう.

また,当然と言えば当然,学生の皆さんの側も好むと好まざるとに関わらず遠隔授業が始まってしまったわけで,受講環境にどうしても差が出てきてしまうという点はある程度避けられない状況でした(いや,現在進行形ですね・・・).教員の側は,受講環境の差によって理解度や,それこそ単位取得率に差が出ることは可能な限り避けなければいけないわけで,そう言ったところも意識しつつ資料や課題を準備するわけですが,そもそも提供する側の教員にも環境や準備状況の厳然たる差が生じてしまっているわけで,ますます対応が難しかったというのが今年度であったと思います.
このような差が”生じたまま”という状況は今後絶対に避けなければいけないので,少なくともギャップを少しでも埋めるための,可能な限り解消していくための工夫や,環境の改善を進めていく必要があるでしょう.教員一人一人ができることはやりつつ,加えてやはり,高専全体での環境整備や制度変更も必要になってくると,個人的には思っています(必要になってくる,とは思っていますが,実際に行われるかどうかは,僕個人ではどうしようもコントロールできないところが悩ましいところ).

・・・今年度の遠隔授業については,個人的な観点から考察してもまだまだ言えることがあるのですが,流石にかなりの文章量となってきたので(^o^;; 来年に向けて,については,別なエントリに分割して(近日!?)改めてアップしようと思います.

2020/12/24

2020年を振り返って その1

言うまでもなく,これまでとは全く異なる1年となった2020年.
簡単に振り返るのは難しそうなので,まだ何から書くか決めていませんが(笑),タイトルには”その1”と付けさせてもらいました(その1で終わる可能性もありますが).

あちらもこちらも例年とはガラッと状況が変わってしまったわけですが,個人的に良くも悪くも大きかった研究面の話から先にしようかと思います.

まず,年度末でもある3月.
例年だと,いわゆる全国大会や研究会などで出張がかなりの数入るわけですが,この3月は軒並みほとんど中止.この状況は,東日本大震災があった2011年に通じます(特に,震災は3月11日に起こったので,まさにその翌日に会場に出発,なんて言う学会もありましたが,結果として全て中止になりました).
今回,9年前と異なったのは一点.かなり突発的な状況であったとはいえ,震災よりは検討の余地があったと言うことなのでしょう.一部の学会,ないしは学会の一部セッションは”オンライン”での開催を選択し,僕やうちの学生さん何名かは,オンラインでの発表が実施できました.

情報処理学会全国大会は全てオンラインに切り替え,電子情報通信学会総合大会は一部オンラインに切り替えたことで,国際交流で訪れていたフィンランド学生のNiko君や,大学編入学が決まっていた学生さんも発表ができました.

今となっては,むしろオンライン開催が当たり前となっていて,国際会議の場合は”現地で発表/オンライン発表”が選べるような学会も普通となりつつあります.
それはそれで便利だし,現地に行く必要がないことのメリットもあるのですが,デメリットとしては,現在のオンライン発表環境では,実際に人前で話すのと比較して(悪い意味で)緊張感を感じずに出来てしまう点があります.これはある意味メリットでもあり,例えば初めて学会発表すると言う学生にとってのハードルは下がるかもしれませんが,例えば,

  • 発表内容をちゃんと覚えておらず,カンニングペーパーを見ながら発表してもバレない
  • 質疑応答に緊迫感がない/質問自体がでづらい
  • 接続状況,オンラインの発表環境のため,発表内容が伝わりづらい
といったところも気になります.
いずれ,オフラインでの発表と変わらない臨場感で違和感なく発表できる環境が実現できるようになるかもしれませんが,現状では如何せん,やはりリアルワールドでの発表とは差があります.せっかく発表するのであれば,可能な限り色々な経験を学生にはして欲しいと思うものの,現在ではなかなか難しいというのが,残念でもあり悩ましくもあります.

一方,中々簡単に行けないような場所での国際会議であっても,オンラインなら参加可能というのはメリットなのかもしれません(個人的にはやはり,現地に行きたいですが・・・).

上記に関連して,今年度変わったことといえば,論文執筆頻度はここ最近では一番高かったことでしょうか.学会発表の準備にかかる負担が減り,出張のための準備や,そもそも出張しないので旅費が浮いたこともあり,結果としてできた時間的経済的余裕を活用して,論文は結構書けた感があります.
学会で,オフラインで他の研究者と会って話すメリットは捨てがたいですが,論文もコンスタントに発表したいと考える身としては,今年度は”怪我の功名”ですが,国際会議での発表論文も含めて,実際,ここ最近の中では最も多く論文をpublishできました.

一本は,専攻科生がメインとなって執筆した英文論文誌に掲載されたもの:
「A Study on Intelligent Dialogue Agent for Older Adults’ Preventive Care – Towards Development of a Comprehensive Preventive Care System」(フリーでダウンロードできます)

もう一本は,学会誌から寄稿依頼をいただき執筆したもの.
加えて,自分が発表した国際会議1本に学生が発表した国際会議(最優秀プレゼンテーション賞授業).さらに(現在投稿中ですが)年明けになりますがもう一方国際会議発表がある予定です.

多忙を理由にしてはいけないんでしょうが,ここ最近は”数年に1本”くらいが精一杯だった学術雑誌掲載の論文が今年だけで2本掲載されたのが,やっぱり大きいと思います.これも,1本目の第一著者である専攻科生がこれまたコロナの影響で海外インターンシップに行くことができなくなった分の時間的余裕があったことで作業が進められた面があると個人的には思っています.

色々と不自由を強いられたこの1年でしたし,論文がたくさん出たから結果よかった,とは単純に言えない1年ではありましたが,不自由ながらやるべきこと,できることは最低限,研究面ではできた1年と,ある意味では言えるかと思っています.

2020/11/12

後期が始まりました

今年度は色々とイレギュラーな状況の中,ほど前に後期が始まりました.

イレギュラーなことが多く,例年以上に多忙な日が多いですが,そうこうしているうちに今年ももう後2ヶ月ない、というのが信じられない(苦笑).

2ヶ月の休業から始まり,在宅勤務や遠隔授業を経験し,当初より制約は緩和されているものの引き続き国内外への出張は難しい状況のため,当初出張して参加予定であった国内外の学会・研究会も軒並み”オンライン開催”となりました(年度末の学会はおおよそ全て中止でしたが,最近はオンライン開催とするのがスタンダードになりつつあります).

出張による移動がないぶん効率が良さそう,と思うかもしれませんが,関連分野の研究者と直接(オフラインで)議論する機会がないというのは,結構なストレスであることを今回再確認できました(率直に申し上げて,国内外を飛び回ることも,誤解を恐れずに言えばちょうど良い”気分転換”となっていたようで,出張できないストレスもかなりのものとなっています).
ただ,幸か不幸かその影響があるのか,今年度は例年に加えて(オンラインなのに)学会参加や論文執筆の頻度が多いような気がします.

今年度に入ってすぐ,(オンラインですが)実は初めて人工知能学会全国大会に(学生が)参加することとなり、本当は熊本に行く予定でした・・・
その後,本当は”八丈島”で開催される予定だった国際会議(SCIS&ISIS2020)に論文投稿し,続いて僕の第二の故郷である台湾で開催される国際会議(ISET2020)のOrganizing Comittee memberも仰せつかり、日本の友人に論文執筆をお勧めしつつOB学生にも論文を投稿してもらい,そんな間をぬって日本高専学会誌に論文を寄稿したり,そんな中で学生の論文が英文論文誌(ASTESJ)に掲載決定したりと,現時点で既に例年よりかなり濃度の濃い発表・出版スケジュールとなっているような・・・

上にあげたISET2020のオンライン発表は今週日曜日(11/15),さらに奇遇なことに(苦笑)12月5日から開催されるのでまだちょっと時間の余裕があると思っていたSCIS&ISIS2020の”発表動画提出”の締切日がバッティングするというこれまたなかなかハードな日程になっています.
卒研や特研に取り組む研究室の学生のみなさんも、例年と異なりなかなか対面でのミーティングや,連携先の学外企業・組織との打ち合わせもスムーズに進められない中,研究自体は比較的大きな問題なく進めてられている感覚がありますので,年度内にあと数件は学会発表の予定が入ってきそうな気がします(というか、発表して欲しいです,是非).

来年度になったからと言って,急激に状況が好転するとは考えられませんが,少なくとも今年は,研究の面では”進んだ年だった”という記憶として残しておきたいなと考えています.



2020/07/24

新年度が始まり2ヶ月?

約1ヶ月ぶりの投稿です.
東京高専に限らず,全国の学生の皆さんもかなり想定外,かつ大変な状況かと思いますが,例に漏れず我々教員も猛烈に多忙です(苦笑).

単純に,感染防止対策を施しての対面授業であったり,遠隔授業の準備であったり,タイトルに書いた通り,そろそろ8月になるというのに実質新年度が始まってから2ヶ月しか経っていない状況への対応であったりと,やることが盛り沢山であることはもちろん,我々のもう一つの仕事(という表現で良いのか?)である研究も進めなければいけない,ということで,かなり,いや,全く時間が足りていません・・・

これも止むを得ないのですが,昨年度末から現在,および少なくともあとしばらくの将来に渡り,出張は軒並みキャンセル,学会・研究会も軒並み中止 or オンライン開催となり,実はこっちのダメージの方が大きいかもしれません.
誤解を恐れずに申し上げれば,出張で国内外の色々なところを訪れることができるのは,個人的にはかなりのリフレッシュになっていた,ということが,皮肉なことにこの数ヶ月,あらゆる遠出がキャンセルになって再認識されたという次第です.
特に,”行く予定だった諸々が全部キャンセル”というのは,かなりダメージが大きかったですね.

そんな中,この年末はもしかすると,(個人的には)かなり久しぶりに海外に行けるかもしれない,ということでちょっと気合が入っています.
ただ,気合いは入っているんですが,体力と気力と時間と発表のネタがついて来ない状況になりつつあるのが悩ましいところ.いくつかのチャンスのうち,一つはなんとかしようと思っているのですが,残りについては,様々な事情が絡み合ってどうにもならない(=現地に行けない)可能性があって,現在,”そこをなんとか”したいとは思ってジタバタしているというのがまさに今(^o^;;

ただ,皆さんもご存知の通り,外にばかり目を向けていられる状況ではないというのが,まさに今の状況かとも思います.幸い,今のところは(体調はと言われればイマイチですが)僕も家族も,学生の皆さんも教職員も大きな問題なくここまで来れていますが,このあとどうなるかは誰にもわかりません.それぞれがそれぞれのできることをできる範囲で頑張っていくしかありませんね.
コロナに気を取られて別な病気で倒れるのも,それこそ”本末転倒”ですから,無理のない範囲でお互い,頑張っていきたいところ.

2020/06/28

対面授業が始まり3週間

少々のご無沙汰です.

タイトルの通り,6/8から対面授業が始まり,とはいえ1週間の時間割のうち少なくとも1日,多いところでは2〜3日分は引き続き”遠隔授業の日”となっている東京高専です.

かくいう僕は,どの授業も遠隔授業の日に配置されていないのですが,持病の喘息の咳が悪化し,このご時世で非常に授業がやりづらい(体調的にもそうですし,受講する学生もいい気持ちはしないでしょうし,実際にそう思われていないとしても,こちらはどうしても気になって今いますし)ことに加え,一部学年では結果として遠隔授業が多くなり,前も後ろも遠隔授業なら,いっそのこと自分の授業も遠隔化してしまうか,という勢いで遠隔化した授業もあります.また,体調的な問題と併せて,”密”を避けるという意味合いで,敢えて普段の教室とは違う(より広い)教室を使う関係で”半遠隔化”(対面で授業はしているものの,授業資料は遠隔授業向きのものを使った授業)している科目もあります.

遠隔,いわゆるオンライン授業は,恐らく一周回ってしまえばそれほど大変ではないと思う一方,今年度はかなり必要に迫られて突貫工事的に資料を用意せざるを得ない状況であることに加え,その他の業務が重なってくると,文字通り”自転車操業”状態になっていて,かなり大変だというのが実際なところです.
ただ,やり方自体には慣れてきたし,恐らく学生の皆さんも遠隔授業の受け方を良くも悪くも(!?)把握してきたように思われ,当初ほど,授業を実施すること自体に対するストレスは少なくなってきたように思います.

とはいえ現在,遠隔授業の準備,実施,課題の確認・採点に加え,助成いただいている財団の報告書作成に国際会議論文の執筆(締切まであと2週間ほど,進捗は4割・・・),国内学会誌向けに寄稿する論文の執筆(これは実質進捗0割 ^o^;;;;;;)などなど,やるべきことが目白押しの状況なので,かなり睡眠時間的には圧縮せざるを得ません.
でも,この状況ってコロナに限らず,いろんな病気をもらってしまう状況が整いつつある(苦笑)ことにもなってしまうので,今日はこのあと,ちょっとした確認を済ませたら休んでしまおうと思っています.日付が変わるまでに休めれば,かなり”早寝”だと言えること自体,ちょっとヤバイですね.

今が頑張りどきであるともいえますが,そこで無理をして倒れてしまってもそれはそれで自分も周囲も厄介ですので,その辺りの加減が難しいところです.

国際会議のうち,現在論文執筆中の一本は,既にオンライン開催が決定しています.
正直に言って,オンライン開催になった時点でモチベーションは急激に下がっていますが,だからといって投げ出すわけにも行きませんので,現在,投稿に向けて頑張っています.
一方,もう一つの学会は今のところ現地開催の可能性を残しているとのこと.さらにさらに,学会開催地は我が愛する台湾,ということで,こちらについては現地開催の可能性があるかぎり,何がなんでも投稿したい(いや,上の学会も頑張って論文書いてますよ ^o^;).誤解を恐れずに申し上げるのであれば,上半期頑張ったご褒美が台湾での国際会議発表であるというのであれば,それはもう,これ以上ないご褒美と言っても過言ではないですね.とはいえ,何はともあれ論文を書かないことには始まりませんので,それをモチベーションに,遠隔授業もその他もろもろも,倒れない程度に頑張ります.

2020/04/10

当分の間

東京高専も教職員に出勤を控えるよう手続きを取るよう促しており,実際のところ,小学校が休業となって路頭に迷っている(というほど見た目上は悲壮感のない)1年生と2年生がおりますので,当面は出勤を控える方向で手続きを完了しました.

政府の政策が(良い意味で)バッチリとハマり,東京高専の休業日程が予定通り消化されたとして,5月の連休明けまでは在宅勤務状態となります.会議の類は極力実施しない,もしくはオンラインで実施することとなりそうです.

まぁ実際,今年度の卒業研究,特別研究関連の打ち合わせは既にSkypeを使用して行っていますし(ウチのスタンダードな環境はOffice365ベースなので、次回からはTeamsを試用する予定),社会実装についても,学生全員を集める場合はそれに応じた準備が必要なものの,僕と一緒にプロジェクトに取り組んでいる学生数名と打ち合わせをする程度であれば,もしルール的に可能であったとしても,わざわざ学校まで来てもらうのはナンセンスだと思われますので,こちらもSkypeやTeamsを活用しまくる予定です.
@dkitakosi からのツイート