2023/02/19

情報の強者 ー前回紹介した書籍と併せて読むと,より納得感が増すー

前回紹介した書籍と似たような,というか,ある面で前回の書籍の内容を補足・補填するような書籍を並行して読んでいました.ただ,タイトルからして恐らく,類似した内容だろうなと推測しつつ,相違点・共通点を探しながら読んでみるのも面白いと思い,(実はこのエントリを書き始めた時点では,まだ読了していないのですが)読んでいるのが以下.


前回紹介した書籍のタイトルが”情報の「捨て方」”でしたが,どちらかというと本書の方が,より具体的に”捨てる方法”について記載しているような気がするのは興味深いです.とはいえやはり基本的な構成は類似していて,まずは情報のインプットから話題が進み,その後,取捨選択の方法に向かって展開していきます.

特に印象に残ったのは,

”情報を自ら積極的に取りに行く”

という点です.実はこのプロセスの中には,どのような情報を積極的に取りに行くか,という字面の通りの意味がある一方で,例えば取るべき価値のある情報の周辺にある不要な情報は”意識的に取らない=捨てる”という意味も含まれています.
例えば,新聞は情報としては(ネットなどと比較して)速報性は低いけれど、信頼性や,その記事を執筆する記者のクオリティは高いので,あながち侮れないこと,同様に書籍は,著者の意図や考えが(ネットやTVのように)勝手に=都合の良いように切り取られることなく,すべて余すことなく記載されていることが重要であること.逆に,SNS等のようなネットサービスの場合,利用者の嗜好に従って”利用者が好む=利用者にとって耳障り目障りの良い情報”のみがフィルタリングされて提供されるので,利用者にとって不都合でも重要な情報は,利用者が選別する以前にフィルタリングされてしまい届かない点が問題であること等など,なるほど確かにと思われる記述が続きます.

前回の書籍紹介時に既に感じていて,実は書き忘れていたのですが,学生の皆さんをはじめとするネット利用者の多くは,非常に強力な検索ツール(主にGoogle)を手元に置いているにも関わらず,実はモロに宝の持ち腐れをしている,と僕は思っています.どういう意味かというと,Googleを活用した効率の良い検索の方法を駆使したり,検索すべきキーワードの質が良ければ,いくらでも重要な情報を入手できるにも関わらず,まともな検索の仕方を知らなかったり,そもそも”〇〇について調べよ,という課題が出たから仕方なく,〇〇のみをキーワードにして検索”してしまうので,誰のレポートも同じ内容になったり(さらに性質が悪い場合,wikipediaのコピペであることが丸わかりになって全員再提出になったり)してしまう.本書でも主張していますが,情報は,自ら積極的に取りに行く必要があるもので,誰かに言われたから嫌々に”受け身の姿勢で”入手しようとしても,ろくな成果が挙がらないことが多いです.

それこそ,場合によってはネットで検索するより,近所にいる実際に情報を持っている人から話を聞いた方が有意義である場合もあるでしょうし,SNSからリコメンドされた自分にとって都合の良い情報より,友人や,あるいは初対面の人との会話の中で,自分にとって新鮮な情報を得られることもあるでしょう.これも,自分から人と対話をすることによってしか情報に出会う機会が得られない一例と言えます.

何だか,今回と前回は全編後編のような構成となりましたが,結局のところ,
自分にとって不要な情報をどうやって捨てるか=自分にとって重要な情報をどうやって効率的に得られるか
ということなのでしょう.

・・・実は,ここまで書いた時点で,まだ本書の7割ほどしか読み終えていません.残りの3割では,やっぱり僕の考えとも合っている,インプットしたからにはアウトプットしないとね,といった内容の章が続いているようです.文章自体はこのまま以下に続けていきますが,以降は3章と4章を読み終えた後で追記したものとなります.

3章では,得られた情報を如何にして自分の知識(知恵)として活用するかのノウハウが書かれています.著者はこれをループ,と呼んでいますが,即ち,自分がこれまでに得てきた情報と別な情報との関係性を考慮して情報同士を繋ぎ合わせることで新たな価値が生まれたり,より深い洞察が可能となることを示唆しています.一方で,あまりループを“ガッチリと堅め過ぎることなく“新たな情報が得られたら古い情報を捨ててループに組み込むことで,時代や状況の変化にも柔軟に対応できると著者は主張します.

確かに,情報は鮮度も重要で,古い考えに囚われるが故に新しい考え方や変化についていけなくなる人も少なからずいますから,情報や知識・知恵はどんどんリニューアルしていくことが重要です(特に工学分野で研究や開発,仕事をする人材は,自分の知識をどんどん新しくしていかないと,あっという間に置いていかれます.鏡の国のアリスにおける赤の女王が語っている「その場にとどまるためには全力で走り続けなければいけない」というアレと同様,技術自体が常に進み続けているので,自分が止まっていると置いていかれる,勉強を続けていてやっと最新の状況と同じ状態でいられる,ということですね).

そして最後はやはり,情報を効果的にキープする/活用するにはアウトプットが大事,という話題で締められます(これに関しては,情報を活用しようとする多くの書籍と僕の考えは同一です).
もう一つ,これもまさに同感と感じたのは以下の一節,
「いったん頭の中に入れて,わかった(と自分では思っている)ことを脳の中に整理し,固定化するのにもっとも役立つのは,「わかっていない」人に教えてあげること」
という部分です.
わからない人に教えるためには,自分自身,より深くその対象について理解している必要があり,かつ,どう説明すればわかりやすいかを考えること自体,さらにその対象についての理解を深めるために役立ちます.

特に演習系の科目で,学生の皆さんに相談は歓迎,と言っているのは,わからない学生さんにわかるようになってほしいという面も当然ありますが,むしろ,わかっている(と自分では認識している)学生の皆さんに,さらに理解を深めるために,わからない学生に教えてあげてほしいという意識の方が強いです.そして当然,このやりとりをすることで損をする人間は一人もおらず,完全なる“Win-Win“の状況が形成されるわけです.もちろんこれは演習系に限らず,あらゆる勉強に通じるものですので,ぜひそう言った意識を多くの学生の皆さんにも(それ以外の多くの人にも)持ってもらいたいところ.

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