2022/07/26

2022夏の読書週間 ー図書館の利用法ー

 年度初めくらいから,諸々調子が悪い間も幸いなことに読書欲は衰えず,雑誌も新書もその他書籍も関係なく,かなりの分量読んできました.ちなみに,好んで読む本のカテゴリについて,僕はかなり”雑食”で,興味があったらどんな分野でも読みます.

ちなみについ先日も4冊ほど自宅最寄りの図書館から借りてきました.それが以下.

なぜこれらを借りたのかというのは,もしかするとわかる人はわかるかもしれませんが(苦笑),文章作成に関して最近,思うところがあったためで,個人的に文章術を勉強したい,というより、自分が思っている,考えていることを確認するためという意味合いが強いかもしれません.

書籍の知識を本当に生かしたいなら,借りるのではなく買った方が良い,という人がいますが,この意見について,僕はある意味では賛成です.
個人的に図書館では,時間がある時は比較的じっくりと中身まで見て借りるものの,場合によってはタイトルだけ見て”ここからここまで”みたいな感じだったり,面白そう,と思ったものを取り敢えず,といった感じで借りてみることも多くあります.その上で面白いもの,是非手元に置いておきたい,と思った本は,一通り読み終わった後で敢えて購入することもあります.

最近は色々と値上げもしていますし,特に学生の皆さんの場合は書籍購入の予算も限られているでしょうから,図書館を有効活用するのはお勧めです.
ただ,個人的には,やはりどうしても自分にとって重要,と思える本は買って読む傾向が強いですし,自分の子供たちにも活字をどんどん読んで欲しいと思っています(マンガでも).幸い,彼女たちは父に似て比較的読書は好きなようですし,読書購入費用に関しては,分厚い専門書を何冊も,となるとキツイかもしれませんが(苦笑),基本的にどんどん買ってよし,というスタンスです.

実際,僕も子供のころからかなりの本を読んできていて,そういったインプットが今の知識やアウトプットの質・量に確実に影響を与えていると思います.そして,インプット自体は続けていかないと,時代の流れに置いて行かれるような不安感は持っています.
わからないことはネットで調べれば良い,というのも一つの真理なのですが,個人的な考えとして,ネットで調べられる情報は”深さがない”ということと,”真偽不明な情報が多すぎる(真偽を確認するのが難しい)”というところが難しさだと感じています.

本に書いてあったらそれは全部真実か,というと当然そんなことはないんですが,とはいえ,一冊の本を出版する場合,それが自費出版などでない限りはそれなりの数の人間の目による確認があるので,そういったところで一日の長があるかと.
加えて,これはネット上の文章でも良いかと思いますが,やはりたくさん文章を読むことで,自分が文章を書く際に使えるボキャブラリや,こういったときにはこんな表現が使える,といった表現の幅も増えるところがメリットだと感じています.

今,上のリストの3冊目を,それこそタイトルに惹かれて読んでいるところですが,共感できる部分がたくさんあって面白いです.時間があれば,これらの本を読んだ感想についてもアップできればと思っているところ.

2022/07/16

ドラマチックな実話 ー少し落ち着きましたー

 お久しぶりです.タイトルに記載の通り,ほんの少しだけですが落ち着きました.ただ,体力的精神的にはまだまだの状況なので,リハビリがてら少しずつ復活していきます.

そんななか,非常に面白い本に出会いました.

無敵の仕事術 君の人生をドラマチックに変える!
(加藤 崇 著,文藝春秋)

心身ともにすり減っている状況の中でも,読書欲は比較的高く,いろいろな本を読みましたが,なんでこの本を手に取ったのか,実は今でもよくわかっていません.別に仕事の仕方のスキルアップのための知識が欲しかったわけでもないですし,後述しますがこの本,どちらかというといわゆる”HowTo本ではない”です.そういう意味で,この本については,もう少し良いタイトルがあったのでは?とも思っています.

この本は,実話に基づく3つのエピソードをもとに,どうやって自分の仕事にやりがいを見つけ,生きがいをもって生きていくか,ということを,特に若い世代の皆さんに熱意を持って伝えています.どちらかというと仕事術というよりは,生き方を伝えている,とでもいうのでしょうか.
全て,著者である加藤氏が実際に体験した事にもとづいて書かれているのですが,これこそ文字通り,”事実は小説より奇なり”で,本当にこんなことが起こるのか!というほどドラマチックなストーリーで,読み進めながらワクワクドキドキしてくる感覚がありました.そして何より,この著者のパーソナリティに僕個人が非常に好感を持ち,加えて文章が読者をどんどん引き込んでいく感覚にもなりました.

物語のベースは,起業や企業再生といった分野のものなので,学生の皆さんにとってはまだ少し(もしくは全く)遠い世界の話題に思えるかもしれませんが,それぞれの企業は人型ロボットや赤外線を用いた視線認識など,高専の学生にとっても興味のある分野を取り扱っています.ただ,それよりなにより,著者はその成功体験だけをドラマチックに語るだけではなく,その裏に数々の失敗を積み重ねてきたこと,失敗による後悔がスタートラインとなっていることも率直に語っています.

ある意味,現在の僕自身の状況に重なる部分もあり,自分もここから”V字回復”していきたいという意欲を呼び起こしてくれるという意味で,出会うべくして出会った本なのかもしれません.

2022/04/07

2022年度(令和4年度)が始まりました ー皆さんへお願いー

 数日前に新年度が始まりました.


業務連絡的な内容&一部愚痴になりますが,手短に・・・

昨年度末から今年度はじめにかけて,メンタルにもフィジカルにも負担の大きい出来事が重なっていまして,その状況のまま新年度に突入しています.ということで,少なくとも体調はよろしくなく,メンタル的にも結構ダメージがあるままです.

とはいえ,やるべきことは大量にあります.病院に行かないと,とか,入院しないと,となってしまうと仕事に大きな穴があいてしまうので,そうならない程度に“仕事量を調整しながら”進めざるを得ないので,特に学生の皆さんにはご迷惑をおかけすることになるかもしれません.
復調してきたらその分の埋め合わせとしてバリバリ頑張りますので,少しお時間をください.
などと言いながらも本日から新年度のホームルームもありますね・・・

ちなみに昨年度と同様,今年度僕は本科担任と専攻主任(本科でいう担任のようなもの)を兼任です(これがまた大変で・・・).書類への押印や署名,その他依頼には,“リアルタイムでは対応がほぼ100%不可能”ですので,できる限り早めに連絡してもらえればと思います(これは僕の体調に関わらず,常にお願いします).

2022/03/08

論文って何?

ほとんどの(高専の)学生の皆さんは,本科5年生になっていきなり「これから1年間で卒業研究に取り組み,“卒業論文”を執筆する」ように指示されます(国立の工業高専では,確か卒業研究はどこでも必修だったと思います.ちなみに一部の,特に工学系理系でない大学では,卒業研究自体が必ずしも必修科目でないところもあります).

東京高専も,僕の母校である函館高専でも同様ですが,そもそも論文ってなんでしょうか?
すぐに答えられる人はいますか?ちなみにここで僕が意図している論文は,いわゆる小論文のような作文の延長ではありません(類似する部分もありますが,当然相違点も多いです).ちょっと狭い定義になると,学術論文が最も近いでしょう.コトバンクで学術論文の意味を調べると,
「新しい研究成果を内容とし,一定の構成を持った論文.一般に,論文名,著者名,序論,方法と結果,考察と結論,引用文献リストから構成される.通常は,学術雑誌に掲載されたものを学術論文と呼んでいる.」
となっていますが,ここでは例えば学会や国際会議で発表するために書く出版物も学術論文であるとしましょう.

学術論文には,上にもあるとおり,背景や目的が記載された序論と,自身が行った(提案した,開発した,改良した)対象についての記述と,その対象の妥当性や有効性を調べるための実験とその結果・考察,および,それらを踏まえた結論が必要であることが一般的です.
・・・が,よくよく思い返してみたら,僕が高専に着任してからずっと感じている(そういった学生が少なからずいる)なぁ,というNGケースを,(今年度はほとんどの学生が学位論文=卒業・修了のために必要な論文は書き終えていると思うので,未来の学生に向けて)ぜひ紹介したいと思います.

学位論文にせよ学会で発表する論文にせよ,大前提として必要なのはその論文で記載されている手法や理論等の有効性と新規性です(独創性があればなお良いですが,今の世の中,完全オリジナルな研究というのは中々ありません).それに加えて重要で,上記の通り,少なからぬ学生が忘れてしまうのが,その論文=研究の中で
“あなたは何をしたの?”
ということに関する説明です.
この研究はこんなにすごいんです,こんなに素晴らしい成果を挙げているんです,こんなに色んなところで応用できるんです,と言葉を尽くしたところで,その研究に具体的に従事しておらず“ただ紹介しているだけの人”は,その研究グループの主要なメンバとは言えないでしょう.

先にも記載した通り,最近の研究は完全オリジナルということは中々ありませんし,むしろ先輩の研究を引き継いで改良していくことを目的とする研究も多いですが,どこをどう読んでも“自分が何をやったのか”がわからなかったり,百歩譲って記述があっても,どこからどこまでが自分のやったことで,どこからどこまでが先人の成果なのかがわからないようでは“評価不能”です.
率直に言ってこの“あなたは何をやったのか”は,学位論文では有効性や新規性よりある意味ずっと重要です.なぜなら学位はその論文を書いた学生本人に与えられるものなので,その学生が何をやったかがわからなければ当然,卒業に相応しいかどうかも判断できないこととなります.ぶっちゃけ,結果が芳しくなかったとしても,
「自分がやったのはここで,こんな工夫をしたけれどうまくいかなかった.何故うまくいかなかったのかを検証してみたところ,こんな課題が見つかった.今後はこの課題を改善することで性能も向上することが期待できる」
といったような考察ができれば,卒業研究としては十分に評価に値するものとなり得ます.

研究を進めるにあたり,関連研究を調べてそれらを踏まえて自分のスタンスを明らかにすることも,先輩の研究を理解して先行研究としてまとめることも重要ですが,それらばっかり大量に記載されていて,肝心の“自分が何をやったのか“に関する記述がなかったり,どこがそれなのかさっぱり見つけられないような論文は,繰り返しとなりますが評価不能と言わざるを得ません.

現在これを読んでいる学生の多くは,これから卒業研究(特別研究)に従事し,その後に卒論・特論などを書く人が多いのではないかと思いますが,あらかじめ上記のことを意識した上で研究を進めていくこと自体,自分の研究の立ち位置や,進むべき方向性を常に意識し“迷走しない“ためにも有効であると思います.

実際,つい最近そんな論文を見かけたことがこの文章を書くきっかけになったものの,今これを書いておくこと自体,これから研究を始める皆さんにとっても有益な情報となるかと思い,一気に書き上げた次第です.

2022/03/04

追記 ー良い(まともな)文章の書き方ー

 一昨日紹介した雑誌特集の中で取り上げられていた書籍

「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた

ですが,東京高専の図書館にも所蔵されていることがわかり,買うより借りた方が早い(笑)ということで早速借りてきました.パラパラとめくってみていて,個人的にさらに(特に学生の皆さんにとって)重要だと思われる&誤解が無いように補足しておかなければいけないポイントがいくつかあったので追記します.

個人的に最も重要,かつ,勘違いしてはならないのは

  • 文章は必ず「推敲」する

というポイントです.先のエントリで,

文章が上手くなるための近道は、書いた文章を誰かに見せて、「添削してもらうこと」にほかならない。

という部分を引用しましたが,ここでいう添削とは.”書いた文章を見直し(推敲)もせず添削者(教員)に丸投げすること,と勘違いしないようにしてください.
そもそも僕の場合,誤字脱字が多かったり,話の内容がさっぱりわからない場合は「読めない」といってそっくりそのままお返しします.最低限,日本語で書かれた文章として読めるレベルの状況には,自分自身でしてください(というか,それさえできない学生は・・・悲しいかな結構な数いるんですが,それこそ,トレーニングしてできるようにならないと,特に社会人になってから地獄を見ます).

教員が(また,引用先の文章でいう「誰か」が)見るのは主に

  • 表現上拙い部分がないか
  • ストーリーの展開に不自然な部分がないか
  • 事実が正確に,過不足なく記載されているか

といった部分で,誤字脱字や”てにをは”の誤りを指摘することは,本来指摘すべき項目にたどり着く遥か前段階で,そこから添削なんてしていたら日が暮れるどころか,”本当の添削がそもそも終わらない(始まりさえしない)”です.

文章作成が一人前にできるといえる必要条件は,”自分の文章を「第三者の視点で」客観視して見直し,修正することができる”ことかと思います.それができなければ,常に誰かに見てもらわなければいけないことになります.ここまで到達するにはかなりの修行が必要ですが,教員をはじめとする誰かに見てもらう前に,自分自身でおかしなところがないか推敲する癖をつけることが,必要条件をクリアするための最初のハードルになります.

ちなみに上で述べた,教員が見る部分の3つめですが,これはいわゆる理工系や報道系の分野に特化した観点でしょうね(詩や小説といった分野は,そもそもフィクションの世界であることが多いでしょうから,その場合,事実関係云々は添削の観点からは外れるでしょう).


  • 比喩・たとえ話を積極的に使う

比喩・たとえ話を使うのは,いわゆる理工系の文章(例えばレポートや論文)ではむしろNGとなる(というか,いらぬ誤解を与える)可能性が高いです(我々の添削対象として「事実が正確に」記載されているか,という観点がありました.いわゆる本格的な比喩やたとえ話を用いて,事実がより正確に/わかりやすく伝わることもあり得ますが,これはかなりの高等テクニックだと思います).

むしろ,特に学術論文や発表資料などでは,”実例を挙げる”ことで読者の理解を助けられることが多いです.例えば抽象的な概念を対象とする場合には,それを現実の場面に置き換えたらどう表現できるか,とか,具体的なシステム・手法が対象である場合には,それを具体的にこれこれこういった環境に適用したらこうなる,といった例があることで,読んで/聞いている人々もイメージがしやすくなる訳です.

まだ,借りた書籍の冒頭しか読んでいませんが,「はじめに」のページに書いてあるとおり,この本の対象となる読者はあらゆる分野の人となりますね.もちろん上のように,このポイントは自分の分野ではこう置き換えられる,といったように,一部翻訳や変換が必要になる部分もありますが,むしろそういったことを意識して読めるようになっていること自体,自分の文章術が向上している証拠と言えるかもしれません.

そういうわけで当該の書籍ですが,現在僕の手元にあるものの,東京高専の学生は図書館で借りられます.まずは借りて読んでみて,これは,と思ったら購入して手元に置いておく,という手もあるかと思いました.

2022/03/02

良い(まともな)文章の書き方

最近,週刊のビジネス誌を読むことがよくあります.以前も紹介したことがあったかと思いますが,今回も自分が勉強する,というよりむしろ,学生の皆さんに紹介したテーマが載っているように思ったので,重要なポイントのおさらい・確認を兼ねて,皆さんに以下の特集を紹介します(既にコンビニなどでは新しい号になってしまっているかと思いますが,多少大きめな書籍であったりAmazonなどのWebサイトであれば,バックナンバーも取扱があると思います.


ついこの前まで(実は現在進行形なのは内緒),本科5年生の卒業論文や専攻科生の特別研究論文といった,比較的長文となる科学技術文書の添削を行なってきましたが,率直に言ってこの手の文書をいきなり上手く書くことは学生でなくとも不可能で,大袈裟でなく“日本語的に意味を理解できて,ストーリーを追うことができる文章”を作ることさえ至難の技であることを,学生の皆さんは理解しているでしょうか?

ただもう一つ,重要な事実があって,どんなに作文が下手な学生でも,練習したらある程度レベルの文章は“絶対に書けるようになる“ということも言えます(これってある意味,何にでも言えることかと思います.いわゆる天才と言える人,センスのあると呼ばれる人でないと超えられない壁というのも感じる一方,逆にどんな人でもトレーニングによってここまでは来られる,というレベルがあって,それは一般的に見てもかなり高いところにあるよ,という話).

学生の皆さんはレポートを書いたり,その他課題で文章を書くこともあったでしょうが,率直にいってそのレベルの文章をちょこちょこ書いている程度では“良い文章を書く技術“は向上しませんし,逆に,このレベルの文章を書いた程度で「自分にはセンスがない」と諦めている人は,諦めのタイミングが早すぎます(上述の通り,センスがあろうがなかろうが,トレーニングすればある程度以上のレベルには到達できます).

紹介した雑誌には様々な非常に興味深い文章術が紹介されているんですが,中でも一番面白かったのが

(藤吉豊,小川真理子 著 日経BP)

という書籍の中から,さらに重要なポイントをピックアップした記事です(上の本,面白そうなので買って読んでみる予定).

トップ40がリストアップされていて,当該書籍の著者自身がその中からいくつかポイントを紹介しているんですが,その中で僕自身も「まさにそれ!」と感じたものを以下に引用してみます.
  • とにかく書く,たくさん書く
文章が上手くなるための近道は、書いた文章を誰かに見せて、「添削してもらうこと」にほかならない。(中略)書いた原稿を先輩に見せるたびに真っ赤に添削されて戻されていた。その繰り返しが書く力の向上につながっていったのだ。
  • 文章はシンプルに
文章のプロは、例外なく「一文を短くする」ことの大切さを説いている。ちなみに私たちが文字数の平均を取ったところ、一文の長さは、「60字以内」が好ましいことが分かった。
特に1点目については,僕自身がそうされてきたし今現在もやっていることです.ここで挫けたり,再び「自分にはセンスがない」と簡単に諦めてしまうと,上達のチャンスはありません.加えて,特に最近よく感じることですが,添削を繰り返して改善を繰り返すことで上達するのが文章術であるのに,そもそも“第一版の提出が遅すぎる“が故,改善の時間がない(=駄文のまま or 改善の余地が大量に残ったまま)締切が来てしまうことが非常に多いことの勿体なさ・・・
2点目については実の所,僕自身反省すべきところでもあり,どうしても一文が長くなりがちなので,もう少し簡潔な文章を書きたいと日々考えているため,印象に残りました.いわゆる論文のような文章の場合,必ずしも短い=正義ではないことも多いのですが,論文を書く際の癖のようなものがそのまま一般的な文章にも影響してしまい,あれもこれも長めの文章になっているような感覚があり,対象によって文体を自在に切り替えられる能力を身につけられたらなぁ,と僕自身考えています.

当該号にはその他,
  • プレゼン資料を作る際の文章術
  • メールを書く際の文章術
  • 英文メールの場合の文章術
  • チャットでの文章術
など,まさに今必要な文章術のエッセンスが紹介されているので,これってビジネス誌だけれど,ぜひ学生の皆さんにもせめて,この特集のページだけでも読んでもらえればなぁ,と思って紹介した次第です.

とはいえ,前半の話に戻りますが,文章は誰でもトレーニングさえすればそれなりのレベルに到達できますが,トレーニングしない限りは絶対自然にそこへ辿り着くことはない一方,やり始めればやっただけ(少しずつではありますが)必ず向上していきますので,学会発表の際や論文執筆の際に苦労や後悔をしないよう,作文技術を上達させたいと思う人は,今からでも,継続的に取り組みを始めることを強くお勧めします. 

2022/02/19

冬の読書週間 ー教育論の新常識ー

 秋口に偶然見つけて購入して読み始めたものの,かなりボリュームがあり,内容も多岐に渡っているため先日やっと読み終わった以下の本.

教育論の新常識 松岡亮二 編 中央公論新社

一言で言うと、非常に興味深く、リアルタイムな内容なので実感・共感することも多い書籍でした.”教育論”なんてキーワードがタイトルに入っているので,対象読者は学校関係者なんでしょ?と思う人もいるかと多いでしょうが,むしろ老若男女問わず多くの日本人に読んでほしい内容です.また,ある意味ではもろに学校関係者であり,当事者である学生の皆さんにも是非手に取ってほしいところ(生徒レベルだと,ちょっと内容が難しいかもしれませんが,高校生なら十分に理解できるレベルでしょうか).

そう言う意味で,タイトルはもう少しキャッチーな方が色々な人に読んでもらいやすいのでは?とは思いましたが,ざっと目次を見るだけでも

  • 教育格差
  • デジタル化
  • 英語教育
  • Edtech(ギガスクール)

といった,今まさに課題となっている,注目すべきテーマが並んでいることに加えて,コロナ禍のここ数年の状況についても記述があるので,学生の皆さんの視点からも「確かにこれは大変だった/困った」といった実感を伴いながら読み進められるように思いました.

こと教育行政に限った話ではないと思われますが,日本って科学的・理論的な考察をせずに重要事項を決定してしまう傾向があちこちにあるようで,まさに科学的・理論的な物事を教えるはずの教育政策においても,”データがない”,あったとしても”分析しない”で政策を決め,さらに,やったら”やりっぱなし””検証・考察しない”と言う,これが卒研をやっている学生なら不合格間違いなしの,妥当性も有効性も保証できないダメダメな状況なのでは,と思われる状況が垣間見えます.
これまで,国のトップに工学系・理系の人がほとんどいないことも理由なんでしょうが,今の世の中,データは取ろうと思えばいくらでも取れるし,データがあれば予想や分析できることも大量にあるはずなのに,それができないのは構造的な問題があることはもちろん,いわゆる官僚の皆さんには理系分野の人が少ないことも影響しているのではないかと思いました(ちなみに,機械学習分野でアメリカと並びトップを走る中国は,長らく国のトップに理系工学系畑の人がついています).

日本が科学技術立国などと呼ばれていた大昔でさえ,頑張っていたのは研究者個人・個々の研究機関じゃないかと個人的には思っていますが,教育格差が拡大し,すでに先進国とは言えない状況となった今では,国をあげて構造的なところから教育制度を変えていかないと,有能な人材はどんどん日本から出ていくでしょうし(実際,先日ノーベル賞を受賞された先生も,国籍はアメリカに移されていましたね),そろそろ取り返しがつかないところまで来ているように思っています.

このブログを読む学生さんは理系工学系が多いんじゃないかと思っていますが,自分の活躍の場を確保すると言う意味でも,後輩の実力不足に悩まない未来を作るためにも(!?),個人レベルの学力云々だけではなく,”より用意制度を作るための教育政策”に興味を持つという視点は大事なんじゃないかな,と思う次第です.

2022/01/07

2021冬の読書週間 ー研究者に興味のある人へ その2ー

 年は変わりましたが,読み始めは去年だったのでタイトルは2021のままとしています.先日紹介した本とは別な本で,中々に実践的な知識が記載されているものに出会いましたので紹介します.いわゆる”ブルーバックス”と呼ばれる有名なシリーズの一冊です.

理系のための研究ルールガイド 坪田一男 著 講談社

先日紹介した「ヒラノ教授〜」は,より大局的,戦略的な話題が著されていると書いたかと思いますが,上の本は冒頭でも記載した通り,より実践的で,良い意味で細かいところまで記載しています.

学生の皆さんにとって,”研究者”というと教員や企業の研究職を思い浮かべるのでしょうが,広義の意味では,卒研(や特研)に取り組む学生も研究者,もしくは少なくとも研究者の卵です(その後研究者を本格的に目指すかどうかは別として).
卵であれ雛であれ,研究をすることになるからには,その業界の知識・ルールは知っておいて方が良いです.それこそ道路交通法のようなルールをイメージしてもらえれば分かる通り,例えそのルールを知らなかったとしても,違反すればペナルティがあります(悪質な場合は罰金ですまなかったり,他人に実害を与え得る可能性もありますね).研究の分野も同様で,学生の皆さんは何も意識せず行ったことであっても,それがルールに反した行動の場合,本人 and/or 周囲に大きな(悪)影響を与える可能性があります.

各学生は原則,研究室に所属していますので,そういったルールを教えるのは指導教員の責任であるわけですが,往々にして,”これは一般世界でも常識だよね”と思えるようなルールであっても知らない人がいたり,教員も想定していなかった(あずかり知らない)状況で,気がついた時にはルール違反が発生していた,ということもあります(最近は特に多い).
そういった不測の and/or 不可抗力的な(?)ルール違反を避けるための予習として読んでみる,という意味でお勧めであるとともに,ルールのもう一つの側面として,その分野の人が活動しやすいようルールがサポートしている,というところもあるので,予め知っておくと研究活動がスムーズに進んだり,”論文投稿や学会発表の際に冷や汗をかかずに済む”,といったメリットもあるでしょう.

卒研に取り組み始める新年度入りたての5年生や,そろそろ研究室配属が気になり出す後期後半の4年生(まさに今)にとっては当然お勧めの本ですし,そろそろ卒論をまとめ始めるとか,ぼちぼち国内外の学会発表の話が出てきた,なんていうタイミングで予習・復習的に関連する節だけ読む,という使い方もできそうです.

ブルーバックスは他にも,純粋に知的好奇心を満たすようなテーマのタイトルも多いので,既に知っている人も多いかと思いますが,興味に合わせて手に取ってみると良いと思います(ちょっと調べてみたら、当該シリーズは1963年創刊,シリーズタイトルは2000を超えているそうです).

2022/01/04

進路活動に向けた「自身のアピールポイント」の考え方

この投稿を執筆した時期(=年末)の半月くらい前に、僕が担任的なことをしているクラスの学生さん向けにまとめた,標記に関する資料をこちらにも(一部修正して)アップしておきます.

とはいえ以下の内容は,今回ふと思い立ち書き上げたものではなく,特に東京高専で教員をやるようになってからはほぼ毎年,進路活動をしている学生に話してきたことです(ポスドク時代や大学教員時代は,親しい後輩などにアドバイスした経験くらいはありますが,そこまで大々的に”進路指導”に携わったことがなかったので,あまりしっかりとは言語化していなかったように思います).

以降からが本文で,毎年学生が(特に高専の学生は)苦戦する、自己アピールに関連した話題です.

まず,そもそも高専4年生になれていて,(恐らく)5年生にも進級でき,卒業できる(であろう)皆さんに長所がないわけがない,というのが大前提です.自分には長所,アピールポイントがないと,面接や試験の直前に言い出すような学生は準備不足,意識不足なので落ちます.

詳細はまた別の機会としますが,高専の学生は(少なくとも他の大学生と比較して)優れているところがたくさんあることを自覚する意味でも,他大学の学生も参加するイベント(できれば学会など)に早くから参加した方が良いと思います.また,企業がどういった学生を求めているかを早めに知ったり,他高専の学生の状況を把握するという目的で,就職支援を行なっている企業(○○ナビさんとか)が主催する説明会には是非参加してください(合同企業説明会は,個人的には参加mustと言いたいところです).もちろん,この企業に興味があるという具体的な名前が挙がる人は,その企業を決め打ちで直接見学に伺うのがベストです.

前置きが長くなりましたが,ここからが本題です.
長所,アピールポイントは,ただ”「コレが得意,コレができる」というだけではダメ”です(言うだけなら,実際にできなくても言えるので).
必ず,自分が実際に経験したことや,その長所で成し遂げたことなど,”実体験”をペアにしてください.
これらを踏まえて,面接などで活用できるアピールポイントの用意の仕方は以下の通り.
  • 自分の長所,アピールポイントを手当たり次第列挙する.それが思い浮かばない人は,学内外関わらず,高専在籍期間中で頑張ったこと,成し遂げたこと,苦労したこと(場合によっては失敗でも良い)などを列挙する
  • 長所,アピールポイントについて
    • それらを生かして実際に成し遂げたことや,普段の生活で活用していることなどをできるだけ具体的に(かつ簡潔に)まとめる
  • 実体験,経験について
    • それらの体験から,自身が具体的にどんな気付きを得たか,どんなことを心がけるようになったか,どういった能力を身につけることができたか,などについて,具体的に(かつ簡潔に)まとめる
  • 上の”「長所,アピールポイント」と「実体験,経験」とのペア”を作っておき,”どちらから聞かれても(話し始めても)もう一方を話せるように”しておく
ペア(対応付け)については,単射である必要はありません.むしろ多価写像でも(一つの要素が複数に対応付いていても)良いです.
アピールポイントは,根拠がないと誰でも(言うだけなら)簡単に話せるので,自分がどういった経験からその能力を得たか,とか,その能力でこんなことを成し遂げた,といった根拠があることで面接対応者によりリアルに伝わります.

例えば面接で何か聞かれた時には,上記どちらを先に回答しても良いですが,アピールポイントから話したなら,それによる成果などの実体験を必ずくっつける,経験,体験から回答したなら,その体験経験からどんな学び(能力)を得るに至ったのかも必ず添える,というトレーニングをして下さい.

リストを作るまでは,一人でもできますし,何人かで集まり,自分以外の人について助言し合うと良いです(自分を客観的に見るためには,これまたある種のトレーニングが必要です).自身では気づかないことも,第三者ならスムーズに指摘してくれることが多いです.

面接は時間制限がありますし,例えば大学編入学で教員が推薦書を書く場合,各学生のアピールポイントなどについては100%,学生本人が自己アピールの文章を作成し,それを提出してもらった後,それをベースに作成します(当然,何も書いていなければこちらも書きようがないので「書けない」といわれておしまいです).
自己アピール文も長過ぎては要領を得ない&そもそも指定の書式があるので,コンパクトにまとめる必要があります.

上記について,企業研究や受験勉強の合間にでも,今のうちから少しずつでも準備しておくことで,準備不足による不合格,不採用を防げます.

最後に一点.
当たり前ですが,準備不足は致命的です.
全く無理ではありませんが,特に就職希望における多くの場合,「第一希望」の先行は活動期間のかなり序盤,場合によっては最初だったりします.
序盤ということは,準備期間も十分に取れない可能性があります.一番入りたい企業の選考を最初に受けて,準備不足で不採用,ショックを引きずったまま他の企業の応募準備をしなければいけない状況を想像してみてください.

上は必ずしも全員そうなる,というわけではありませんが,実際にあり得ます.また,大学編入学,専攻科進学でも起こり得るので,ある意味全員,想定しておくべきシチュエーションです.

また,正直に言って,5年生(4年生の終盤)や専攻科2年生(1年生の終盤)になって本当にアピールポイントが(思い付か)ない,と考える学生がいた場合,こちらとしては何も言いようがありません(ないと言っても何かあるでしょ?と引っ張り出してもらう以外にない).実際には少なからず能力的・性格的な長所や特技,なんらかの資格や頑張りといったものはあるはずですが,例えば4年生になったばかりの段階で,もしかして自分にはそういったアピールポイントがないのでは?と考える学生は,非常に下世話ではありますが,年度当初に必ず決めることとなる委員会活動やその他課外活動の委員などを必ず担うようにしてください.それだけでも(自分で見つけやすい)ポイントを一つ用意することができますし,高専内であれば4年生は中心的な役回りとなることが多いので,担当した仕事が大変である可能性は高いですが,その分得られる経験は本当に尊いものとなると思っています.

最後に,自分の特徴やアピールポイントを発見するためのツール・手法を紹介します.
自分の頭の中で考えたり箇条書きしてみたり,というのがスタンダードかと思うのですが,例えば

  • マインドマップ(自分マップ)
  • 偏愛マップ
といったキーワードでググってもらえると,比較的システマティックに自己アピールのポイントを探し出せるかと思います(上記,後者は良く,自己紹介や他己紹介の際に使用される方法ですが,”自分を知る”という意味で当然,アピールポイントを掘り下げる場合にも役立ちます).

2022/01/01

2022年 明けましておめでとうございます

皆さん,明けましておめでとうございます.今年もよろしくお願いします.

去年は,ここ数年の中でも群を抜いて”過酷な1年”でした.コロナ禍による諸々だけではなく,心身ともに消耗するような出来事が多かったと思います.

そんな状況に引き続いての新年なので,例年だとそれなりに前向きな目標を設定するのですが,今年に関してはとにかく

”心身ともに健康を維持すること”

が唯一かつ最大の目標です.
見栄えはしませんが,個人的には,これでも十分に前向きな目標と思っています.また,上の目標さえクリアできれば,それに付随して色々なサブゴールも必然的に達成できるのではないかと思っています.

ということで,この1年はくれぐれも”安全運転”で行くことを心がけていきます.

@dkitakosi からのツイート