2010/05/07

世界へ羽ばたく研究者に

さて、会議が終わりました。

ゆっくりとではありますが、ボチボチtwitterのfollowerが増えてきたので、こちらのサイトの存在も明らかになりつつある様子。それはそれで更新せなあかんがなという話でちょっとしたプレッシャーではありますが、その分、読書のモチベーションにもなるのでまぁ良いかと。

と、言っておきながら、今回はいきなり少々手抜きです(笑)。本というより雑誌の一記事を紹介します。雑誌名を人工知能学会誌と言います。まず、学会誌と呼ばれるものについて説明しましょう。多くの(我々のような高専教員を含む)研究者は、何がしかの学会に所属しています(僕の所属学会はこちらを参照)。もちろん、基本的には自分の研究分野に関連する学会に所属します。所属すると、特典は学会によって様々ですが、分野に関連する雑誌が送られてきたり、論文誌が送られてきたりします。学会誌と論文誌は通常異なっていて、論文誌ではまさに、研究者が自身の研究成果をまとめた”論文”を投稿し、他の研究者による審査(査読と言います)に通る(これをAcceptと言います)と掲載されます。今回は、論文誌ではなく、人工知能学会誌の一記事を紹介します(ちなみに人工知能学会は、会員でなくても論文誌をオンラインで無料公開しているという太っ腹な学会です。AIに興味のある人は覗いてみると良いかも)。

紹介するのは、人工知能学会誌 Vol. 25, No.3「日本人研究者が世界で活躍するために」という記事。最近では事業仕分けに関連して、日本の科学技術振興のための施設が云々、などという議論もよくニュースになりますが、いかんせん、単純な”インパクトレベル”で比較すると、日本は世界(ここでは主にアメリカ)に劣っていると言わざるを得ません。その理由は、皆さんの多くは苦手としているであろう、言語(英語)によるものです。研究世界の共通言語は、分野に関わらず英語です。もちろん、最新の研究論文も英語で発表されます。日本の研究者が優れた研究をしても、それを海外の優良な論文誌(Journal)に発表しないことには、誰も(と言っても過言ではない大多数の研究者が)それに触れることができない訳です(ちなみに僕は高専卒ですが(?)英語は大好きです)。

本記事にも、それと同様の事が書かれていて、それに加えて世界(米国)と日本の研究環境の違いが述べられています。記事を読めばすぐ、”それは著者がその環境にいるからそう思うのでしょう?”といった感情が湧いてきます(注:著者は日本人ですが、現在アメリカスタンフォード大所属。同時に日本では東大所属なので、要はスタンフォード(in シリコンバレー) と 東大(in 東京)の違い)。ただ、読み進めるにつれて、一理あるなというようにも感じてきます。
二つの国(大学)の環境の違いを、筆者は各小節で以下のようにまとめています。
  • 天気
  • 言語
  • 世界中の知を輸入するアメリカの科学技術政策
  • 明確な人事評価と雇用の流動性
後半の二つ辺りは、それこそ先ほどの事業仕分け辺りとも関係してきそうではありませんか?
そして、まとめの一つ前で、”日本人研究者が世界で活躍するために”として筆者なりの考えが著されていますが、個人的には同意できる部分がかなり多くありました。特に印象に残った一部を抜粋します。
英語の克服法であるが,地道な積み重ね以外に方法はない.(中略)最終的には自分のすべての研究成果を国際会議,英語の論文誌への投稿につなげると強く意識する意外に方法はない.(中略)ときにはうまくいかないことも出てくるであろう.そんな場合は,仮に一旦撤退することがあっても,また次のチャンスが回ってくるはずだと信じ,楽観主義でいることこそが重要であると思う.
大学への編入学,さらには(もしかしたら存在するかもしれない)研究者への道を模索している皆さんは,興味があったら読んでみることをお勧めします(例によって,僕の部屋に来れば貸します).
もちろん,編入を考えていない学生にとっても,世界で活躍するエンジニアを目指す人や,アメリカと日本の文化の違い等を”てっとりばやく”知りたい人にはお勧めできると思います.
いやいや,そもそも高専は即戦力の技術者を養成する教育研究期間だろ,という突っ込みもあるかと思います.次回は,”エンジニア”にとってためになる本を紹介したいと思います(もちろん,学生生活の参考にもなります).

P.S. 意外と長文になったなぁ.推敲してないので誤字があったらすいません.

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