2022/12/14

映画鑑賞 ー土を喰らう十二ヶ月ー

 以下は,最近見た,とても印象的だった映画の感想です.


「土を喰らう十二ヶ月」

まず,何よりも最初にタイトルに惹かれました.内容に関するイメージが膨らみます.続いて予告編の動画を見て,いい意味で予想通りの内容であることが期待され,その時点で“必ず映画館で観る”ことを決めました(笑).

僕は,人が料理を作ったり,作った料理を食べたりする物語が大好きです.というと,大体どんなドラマでも食事シーン等は比較的よく出てきますが,そもそも“食“が物語の中心であったり,重要なファクターである作品が好物なんです.実際,漫画は美味しんぼにはじまりクッキングパパ,昔はミスター味っ子(かなり昔に完結した&劇画要素も強い漫画でした ^o^;;)も読んでましたし,TVだと孤独のグルメ,きのう何食べた?(双方とも原作は漫画ですが,TVドラマから入って漫画に誘われたタイプです),絶メシロードにタクシー飯店,晩酌の流儀にベイクオフも好きです.

今回観た映画の舞台は長野,四季折々の山里の景色が非常に美しく,その季節に合った,素朴だけれどもある意味手の込んだ,そして何より美味しそうな食材や料理がたくさん登場してきて,しみじみと「美味そうだなぁ」と思いながらニヤニヤしていました.特に僕の場合,ただ料理がドン!と出てくるのではなく,その作る過程が描かれているものが好みで,この作品も例に漏れず,なんなら食材を畑から収穫するところから描いているのが溜まりません.

主演は沢田研二,その昔はスーパーアイドルグループのボーカルで(と言っても,グループサウンズ時代はさすがに僕も知りませんが),その後ソロになっても人気を博していましたが,最近はむしろロックで,自分のありのままをファンにさらけ出すような生き方が評価されているように思います.
劇場は結構,人が入っていましたが,もしかすると40代は僕他少数派で,大多数はジュリー(沢田研二のアイドル時代の愛称)をリアルタイムで応援していた世代の方々だったのかもしれません.
最近では,コロナに倒れた志村けんが当初主演を務める予定であった「キネマの神様」の主演を代役で務められたことが話題になっていましたが,今回の映画ではいい意味で素朴な,ある面では達観し、ある面では妙に人間臭さを感じさせる魅力的な小説家を演じています.

料理が美味しそう,そしてその食材収穫や調理の様までが美しい,というのは,料理面において全面を担当された土井善晴さんの影響が大きいと思います.テレビの料理番組でも(特に我々の世代はお父さんの土井勝さんと共に)有名な方ですが,本当に美味しそうな(そして恐らく確実においしいであろう)料理を造られる方で,この方の協力あってこそのこの映画だとも思われます.

ある意味,土井さんが協力されている,ということを知って,作品への興味がさらに強まった感があります.

食べる,という行為は当然,生きることにつながります.そして,人が日々何をどのようにどんな環境で食べているかが,大袈裟ではなくその人そのものを形成しているようにも感じています.
僕はここしばらく,体調を整え体力を向上させることも目的として,かなり食事には気を遣っていますが,その一方で“我慢しているという感覚はない“と断言できます.実際,食べたいものを食べているし,ハメを外すときはそれはもう酷いものです(苦笑).ただ,それらをトータルして,無理のない,自分に合った食生活を送ることができているように思います.

そういった,その人の多くの部分を形成する食にはどうしても興味をそそられてしまいますし,この映画でも,ただ淡々と日々“ものを食べているだけ“ではなく,それぞれの人生の岐路において,自分はどう生きていくか,何を食べて(生きて)いくか,と言ったシーンも,大いに考えさせられるところでした.
恐らく,10代20代,もしかすると30代くらいの人までは,この映画の良さを十分に感じることができないかもしれませんが,食に興味のある人なら一度観てみて,その5年後,10年後,15年後に改めて観てみると、また違った感じ方ができる,という楽しみ方もあるように思いました.

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